キャリアガイダンスVol.414
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授業を受けた生徒の声り、手順を誤ったりと、うまくいかないことも多い。江藤先生はその経験こそ価値があるという。 「クラスの合言葉は『失敗のない人生、それ失敗』。失敗からたくさんのことを学んでほしい。だから、失敗のお膳立てをするのが自分の役割だと思っています」 かつての江藤先生の授業は、今とは大きく異なる。「初期はドラマ『女王の教室』さながらの強権的な態度だった」と江藤先生。当時はひたすら問題集を解かせる「質より量」の授業を行っていた。また、生徒同士ペアを作り、できる生徒が教えるスタイルを導入したことも。これにより英語の成績は飛躍的に向上したが、「生徒の間に上下関係を作ることなので脆さも感じていた」という。 その後、「7つの習慣」の考え方やICTを取り入れ、現在のようなフラットで自由度の高い「オーガニックラーニング」に至った。今、生徒の学びに向かう英語力が確実に身に付き自律的な学習・行動力も育つ生徒はどう変わったか姿勢は、これまで以上に前向きだ。生徒は授業に対する意見やアイデアを積極的に出す。大規模オープンオンライン講座「コーセラ」を使って自習し、学んだ内容を英語で紹介し合う授業は、生徒側から「やってみたい」という声があがって実現した。 その一方で、生徒が動き回っているだけにも見える授業で英語の学力がちゃんと付くのかと心配されることも。しかし、「4技能のバランスがよく、TOEIC®テストなどの外部試験も伸びている」と江藤先生は手応えを感じている。大学取材・文/藤崎雅子生になっても戻ってきて新入生の授業をサポートする卒業生がいることからも、こうした授業が彼らにとってかけがえのない経験だったことがわかる。 「マインドが育ってくれれば生徒が自主的に動いてくれるので、私がかけるパワーはかなり少なくなりました。小学生のころからずっと肌に合わないと感じてきた管理教育の殻を、今やっと破りつつある気がしています」 この夏、江藤先生らが主催して、今後の教育を考えるイベント「ラーニングスプラッシュ2016」を開催。高校教員や大学教員、コンサルタント、映画監督など多様な参加者が集まり、教育をテーマにプレゼンテーションやワークショップを行った。同校生徒も授業の一環として準備に関わり、当日の運営の一部も担当。学校や教科の立場を越えたプロジェクトとなった。江藤先生は今後も、このような既成の枠組みにとらわれない活動に取り組んでいくという。 「未来は自分が思い描くようにしかならないので、この程度でよいと思ったらそうなってしまいます。成長を妨げているマインドブロックさえ外すことができれば、人の可能性は無限大です。生徒にも、さらには教育に関わる仲間に対しても、大きな枠組みで成長するためのお手伝いをしていきたいですね」図2 授業に取り入れている手法の例「LEAFモデル」英作文ランダム発表解説動画の作成「LEAFモデル」とは江藤先生が自らの授業の特徴から命名した造語。L=Live Contents(生教材)・ E-all English (すべて英語による授業)・A=Active learning (アクティブラーニング)・ F=Flipped classroom(反転授業)を表す。社会で実際に使われている英語コンテンツやプロジェクト活動を取り入れ、グループ学習や、オンライン講座「コーセラ」を活用した反転授業などを実施している。新出構文を使って各自で短文を作成。ミニホワイトボードに書き出し、席を立ってランダムに相手を見つけて発表し合う。体を動かすことで頭に入りやすくするねらい。新出文法に関する生徒の疑問を洗い出し、チームに振り分ける。各チームは担当する疑問について調べて2分程度の解説動画を作成し、クラス全体で共有する。動画はストーリー性や演技を取り入れ、楽しみながら理解できる内容。2年 石田さりなさん 中学時代から英語が得意でしたが、江藤先生に教えていただくようになって奥が深いなと気付きました。以前は外国人を道案内できればOKという感じでしたが、今は自分の意見が言えないと授業についていけません。自分の考えがしっかり相手に伝わるように英語を話そうと意識しています。 江藤先生は素直に尊敬しています。未来を見通した考え方にはすごく賛同できます。私たちへの要求レベルが高く、ムチャぶりはちょっと困りますが、できないことは要求しません。実力ぎりぎりのところを考えてくださっているから、私たちも頑張れるのだと思います。 中学までの「暗記しなさい」という授業に比べて、グループワークが豊富な江藤先生の授業のほうがずっと楽しいです。最初はこんなやり方で大丈夫かなと思いましたが、TOEIC®テストや模試の点数が上がってきたので、ちゃんと力も付いています。 また、身に付いているのは英語力だけではないと感じます。苦手だった人前での発表に慣れましたし、TEDの動画などの生き方を考えさせる教材も多く使われるので、自分自身についてよく考えるようになりました。将来就きたい仕事でも英語力が求められるので、それに向けて頑張って勉強していきます。マインドブロックを外すため枠組みを越えて活動今後行いたい授業2年 手嶋 準くん「授業」で社会を生きる力を育む【Report 08】 英語312016 OCT. Vol.414

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