キャリアガイダンスVol.414
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石川瑛子先生教員歴8年。顧問を務める家庭科部は、地域のプロフェッショナルに料理技術を学んだり、公共施設で作品を発表するなど校外でも活発に活動。キャリア教育と学びを考える会「松ラボ」代表。 石川瑛子先生が家庭科の授業で目指していることの一つは、周りの人や社会の誰かのために行動する意識・態度を育むことだ。 「例えば、調理実習をして『美味しかった』と自己満足するだけでなく、学んだ知識や技術を家族や仲間のために生かそうとしてほしい。それが、ひいては困っている人や社会の課題のための行動につながればと考えています」(石川先生・以下同) 家庭科では男女共同参画や高齢化など社会的なテーマも扱うが、生徒にとってはやや遠い話になりがちだ。そこで石川先生は、リアリティがもてる身近な話題や教材から授業を展開するよう工夫している。 例えば旬の食材をテーマにした授業は、地球環境に配慮した食材選びにつなげたいが、いきなり食糧自給率のような数値から入っても生徒は自分自身の問題として考えにくい。そこで、まずは近隣のJAで入手した資料を用い、今が旬の千葉県産の野菜・果物について確認。そんな旬の野菜を積極的に食べたいと思う理由についてグループワークを行う。あがってきた「美味しいから」「安いから」などの意見に対し、その背景に輸送コストや環境負荷があることに気付かせる。 「美味しいものを選ぶことが環境負荷を低減し地域の振興にもなると知ることで、肩肘張らずに地元の旬のものを買う行動につながるのではないでしょうか」 もう一つ石川先生が目指すのは、意思決定の力を鍛えることだ。 「教科書に載っているのは、平均的な生活です。でも実際は食事ひとつとっても、手作りにこだわる人もいれば、忙しさのなかで効率を優先する人もいて、人それぞれ。そうした多様な価値観があるなか、教師が『こうあるべき』とひとつの価値観を教えるのではなく、生徒自身が自分はどう考え何を選ぶか意思決定することで、自分なりの生活スタイルを創造していってほしいのです」 そのため、授業では統計情報で社会的な平均を伝える他、グループワークを取り入れて様々な価値観に触れさせている。例えば、結婚と出産をテーマにした授業では、まずプリントを使って自分の希望する結婚年齢と第一子誕生時の年齢を挙げさせる。それを班で共有し、合計特殊出生率の統計や新聞記事も参照しながら、早婚と晩婚それぞれのメリット・デメリットについても話し合う。 「自分と隣の生徒の違いや、クラスの平均と社会の平均の差など様々な発見があり、授業は盛り上がります。そこから、身近な教材から社会を考え行動や意思決定の力を育むどんな授業なのか1975年創立/普通科・国際人文科/生徒数1097人(男子564人・女子533人)/進路状況(2016年3月実績)大学177人・短大23人・専門学校119人・就職25人・その他17人学校データ知識や価値観を教師が教えるのではなく体験やグループワークから生徒が学びとる家 庭松戸高校 (千葉・市立)左が家事分担について、右が理想の結婚年齢・第一子誕生年齢・子どもの人数についてのワークシート。 322016 OCT. Vol.414

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