キャリアガイダンスVol.414
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授業を受けた生徒の声(卒業生)取材・文/藤崎雅子自分は他の人と違っても良いということを印象づけられたらと思います」 昨年度、石川先生は家庭科の授業に対する生徒アンケートを実施した。印象に残っている授業の上位にあがったのは実習系の授業だったが、その次は「出生率のシミュレーション」や「ちばの旬について」などグループワークを組み込んだものだった。また、人の意見を聞くことについては、過半数が「好き」と回答。その理由は「新しい考えを得られる」「たくさん学ぶことができる」などだ。グループワークで人の意見を聞くことで、授業テーマに対する関心が高まり思考が深まったことが推測される。 卒業生に石川先生の授業について振り返ってもらっても、やはりグループワークの話し合いが多く話題にのぼった(左コラム)。大学や就職先では高校生の時よりも自分で意思決定し行動することが求められるなか、ある卒業生は「高校時代に言われた意思決定の力の大切さを今ようやく実感できている」と語った。これから先の人生で、家庭科の学びが発揮される機会はさらに増えそうだ。 石川先生が実践する授業は、生徒がグループワークで高まる授業テーマへの関心生徒はどう変わったか身近に感じられるリアリティと、多様な価値観との出合いがポイントだ。その効果的な授業を行うには、「教員一人の経験で十分とはいえない」と石川先生。今後は地域の人に参加してもらう授業も計画している。 例えば、高齢者疑似体験実習の後、生徒は歳をとることにネガティブな雰囲気になりがちだ。そこで、80歳を目前にしホノルルマラソンに出場した県内在住の知人を招き、その姿や前向きな話から高齢者の明るい面も伝えていきたいという。 「外部の方の力も借りて、少しでもこれからの人生に希望がもてるような授業を行っていきたいですね」地域の人を授業に招きより多様な価値観を伝えたい今後行いたい授業■記憶に残っていたり積極的に 学習できたテーマ(上位7テーマ)■人の意見を聞くのが好きか図1 生徒アンケート結果より森谷ちひろさん(神田外語大学1年)風間 遥さん(サービス接客業)石川 栞さん(聖徳大学1年)石川先生の授業の内容については、自分たちはどう考えるか、どうしたいかを考え、みんなで話し合った記憶が鮮明です。そのテーマについて今でも時々考えることがあります。単に教科書の内容の説明を聞くだけだったら、思い出すこともなかったかもしれません。食材選びや家事分担など、授業がなければ改めて考えることはなかったので、これから一人暮らしをしたり家庭をもったりするなかで生きてくるんじゃないかなと思います。実習で印象に残っているのが、クファジューシーなどの沖縄料理の調理実習です。妹が野菜嫌いなのですが、こうしてみじん切りにすれば妹も食べるかもしれないと思い、家でも作りました。家族に美味しいと喜んでもらえて嬉しかったです。また、講義の話し合いでは、人の意見も聞きながら自分自身はどうかを考えましたが、社会人になってその意義を実感しています。今、仕事を覚える段階ですが、先輩によって教え方が違うので、それらを統合して自分で解決していこうと思っています。大学生活は高校時代のように待っていれば情報が入ってくることはなく、自分で考えて行動することの大切さをかみしめています。元来あまり自分の意見を言わない方だったのですが、家庭科でたくさん話し合い、だんだん積極的に話せるようになりました。今、大学でも意見を求められることが多くあります。こういう場を生かし、自分の意見をしっかりもって自ら発信できる人になりたいです。1位車椅子体験2位高齢者疑似体験3位麻婆豆腐調理実習4位出生率のシミュレーション5位ちばの旬について6位糖度の実験7位食中毒について旬の食材をテーマにした授業。グループワークでは「なぜ旬の野菜を食べたいと思うのか」について話し合い、「美味しいから」「新鮮だから」などの意見を出した。県の名産の野菜・果物が地図で見られるJAの資料や、県内の主産地が入った野菜の旬の時期カレンダーを使用。身近にある旬の野菜について考えた。実 習実 習実 習実 習講 義グループワークグループワーク好きではない3%好き56%普通41%※2015年度3学年「授業」で社会を生きる力を育む【Report 09】 家庭332016 OCT. Vol.414

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