キャリアガイダンスVol.414
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今でしかできないことがある。機会を逸することなく、校長としての信念を通すべき伊藤 勝水沢第一高校 校長いとう・まさる1949年生まれ。國學院大學文学部卒業。岩手県立宮古工業高校、盛岡第一高校、大船渡高校教諭を経て、91年岩手県教育委員会。指導主事、高校改革推進監、教育次長を歴任後、2005年盛岡第四高校校長。県立教育センター、水沢高校校長、水沢図書館を経て、13年より現職。学校運営の舵を取るトップに聞く水沢第一高校(岩手県・私立)1926年清明女学校建学。56年水沢女子高校開校、60年水沢第一高校に校名変更。2016年に建学90周年、創立60周年を迎える。全日制普通科(2年次から進学コースと総合コースを選択)、調理科。まとめ/堀水潤一 撮影/菊池茂樹 本校は、岩手県の奥州市という地方の小さな私立高校でありながら、3つの方向での指導を進めています。すなわち、①県南唯一の調理科を有し、卒業と同時に調理師免許が取得できる学校。②様々な活動を保障しながら、地元への就職を実現できる学校。③同様に、希望する進学が実現できる学校です。 これらの実現のために、学校体制や指導方法を改善してきました。例えば調理科では、年12回に及ぶ集団給食の提供、保護者を招いての食事会、学校祭での食堂運営など、実践の機会を増やしている他、自信を深めるべく、調理・製菓コンテストへの参加を奨励しています。 就職希望の生徒には、社会に参加することの意味を考えさせるため多様な進路行事を実施。地元企業・団体による応援団も結成され、現在、400を超す法人・個人に参加いただいています。「就職希望者を地元に残そう。地元を支える若者を育成しよう」が共通の認識です。 進学希望の生徒に対しては、現時点での「力」を確認し、向上させるため、また、限られた学校の人員を補うため、昨秋から動画配信による講座を活用するなど、自学体制を整備しています。また、外国語によるコミュニケーション力の育成にも力を入れています。カナダや台湾の姉妹校から訪日した留学生や、交換留学先から帰国した生徒は、視野が広く、校内に活気を与えてくれる存在です。  部活動や生徒会などの特別活動による生徒育成にも積極的に取り組んでいます。卒業生が社会に出たとき、基礎的な知識や技術がなくては困ります。しかし、それ以上に困るのは、先輩から教えを乞うことが苦手だとか、意欲や根気に乏しく業務の遂行に支障をきたすといったこと。そう考えると、社会においては、計測できる学力=認知能力だけではなく、忍耐力や社会適応性、自制心など、数値では測れない非認知能力も大いに必要ではないでしょうか。知識は自学自習でも習得できますが、非認知能力は、他者との関係のなかで培われるもの。だからこそ、特別活動による生徒育成を大切にし、そのうえで教科部分の学力も強化したいのです。 少子化などの厳しい状況にありながら、ここ数年入学者が増加しているのも、そうした思いが伝わり、地域から期待されていることの表れだと感じています。 本校赴任以前、私は県立高校等に長く勤めていました。最後の2校は校長としての勤務ですが、在籍期間はともに2年。一般に、このくらいの任期では、前任者からの流れや、後任への配慮もあって、大胆な改革がしにくいこともあります。しかし、退職間際になって、やり残したことが多いことを後悔しては遅い。せっかく大きな仕事ができる立場なのにもったいない。校長にしかできないことは山ほどあります。機会を逸することなく、信念を通すべきだと考えます。機会を逃さず後悔のない改革を調理、就職、進学の3方向を見据えた指導432016 OCT. Vol.414

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