キャリアガイダンスVol.414
50/66

 毎週木曜日の昼休みが終わるころ、矢掛高校からは自転車に乗った生徒が次々と出てくる。ブルーの体操服あるいは制服で、昇降口に立つ教員と言葉を交わしてから出かけてゆく「出勤」姿はこの6年で矢掛の町に馴染みの風景となった。 町内の施設に到着すると、生徒たちは慣れた様子で「業務」に取り掛かる。図書館では本を配架し、カウンターで接客、老人福祉センターでは一緒に健康体操。保育園ではお昼寝時間中に会議をする先生に替わって園児を見守る。お兄さんお姉さんは小学校でも大人気だ。ある小学校では、授業の補助などその日の仕事が終わると、校長室で振り返りの場をもつのが恒例となっている。帰校後、業務報告書を作成し、担当教員と面談して一日が終了する。  2年生の8月から3年生の7月まで、毎週木曜の5・6限、1年間の実習を伴う「やかげ学」は矢掛高校の学校設定教科。現在の実習先は小学校7校、保育園2園、高齢者福祉施設2か所、郷土美術館、図書館、自然体験施設の14か所。ここに普通科総合コースの2クラスの生徒が通っている。 旧矢掛商業高校と旧矢掛高校が合併し2004年に誕生した新しい矢掛高校は、他に国公立進学希望者のための普通科探究コースと、商業町内の公共施設で週1回の実習を行う「やかげ学」。「町の人に育ててもらう」つもりでスタートした取り組みは7年目をむかえ、今、生徒たちは「町になくてはならない」存在として活躍しています。「体験報告」から「提案」へ■ 目標やかげ学の2年間1年間、毎週2時間の実習体験を将来に生きる経験に変える「やかげ学」矢掛高校(岡山・県立)第8回Ⅰ 準備期間 2学年4月~7月Ⅲ 振り返り・発表期間 3学年8月~2月Ⅱ 実習期間 2学年8月~3学年7月矢掛町の歴史文化や経済など、町を知ることから始め、施設の希望調査や、マナー講習、自己紹介カードの用意など実習に向けて準備を行うこれから実習に入る2年生への引継ぎを行い、時間をかけて振り返り発表会へ木曜の5・6限に町内の各施設で実習を行う。毎回報告書を書き、教科担当者に報告をして終了となる。12月には体験の内容・今後の課題とその解決策などをまとめて中間発表。役場担当者など外部講師による授業も多い。中間・期末考査では座学で学んだ内容を問う毎回のワークシートで2年間のポートフォリオはかなりの厚みになる毎回の面談。振り返りの内容が不十分だと突き返されることもある中間発表時の資料業務報告書はA4表裏に「本時の活動目標」「活動内容」「特に頑張ったこと」「反省事項」「今後活かせそうなこと」などを書く「出勤」時の風景。補助金も活用して購入したやかげ学用の自転車が駐輪場に並ぶ小学校で授業補助自ら企画して授業をした生徒も図書館勤務中地域との連携を重視した様々な形態の学習活動を通して、他人との関係性、社会との関係性、自然環境との関係性を認識し、「かかわり」「つながり」を尊重する態度を養う。また社会に積極的に関与する能力を育成し、持続可能な社会が実現できるような価値観と態度を養う取材・文/江森真矢子502016 OCT. Vol.414

元のページ 

page 50

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です