キャリアガイダンスVol.414
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図1 国公立大学合格率の推移30.0(%)(年)25.010.020.05.015.00199019952000200520102015 和歌山県中部の農業・漁業が盛んでのどかな地域にある県立日高高校。市内に2校しかない高校のうちの1校として、幅広い生徒が学んでいる。上田優人校長は「地方によくあるタイプのごく普通の高校」という。 そんな同校は現在、3つの大きな事業に取り組んでいる。文部科学省のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)とSGH(スーパーグローバルハイスクール)、そして21世紀型スキルを実践研究するOECD日本イノベーション教育ネットワークのプロジェクト、「地方創生イノベーションスクール2030」だ。 10年前にSSHの指定校になった当初、生徒会選挙はほぼ信任投票だったことに象徴されるとおり、控え目でおとなしかった同校生徒。それが今は積極性や主体性を発揮して様々な事業に生き生きと取り組み、新しいことにも意欲的に挑戦する。そうした生徒の変化に呼応するかのように、進路内容も変わってきた(図1)。 「約10年前まで国公立大学合格率は10%に満たない状況でしたが、近年は20〜30%の間で推移しています」(キャリア指導部長 中前勝吾先生) このような変化はどのように起こったのか。SSHを皮切りとして各種事業に次々と取り組んできた、この10年間を振り返ってみたい。国公立大学合格率が10年間で急伸地域の教育力向上のためSSHに挑戦 同校は今年度まで2期連続SSH指定校となっているが、最初に手をあげたのは2007年度。理科教育にも力を入れる付属中学校開設準備が進行していた時期で、新たな中高一貫教育の構築を目指しての挑戦だった。 「その背景には、日高地区の教育力を高めることで、高校進学時の周辺地区への流出に歯止めをかけたいという強い思いがありました」(上田校長) 手探り状態から始まった同校SSHを方向づけたのは、12年度、高校生が自作した缶サット(空き缶サイズの模擬人工衛星)の技術力・創造力を競う「缶サット甲子園」全国大会で、同校チームが優勝したことだ。指導したのは、生徒に任せるタイプの教員だった。これを機会に、「生徒を主体的に動かすとすごいことができそうだ」と考える教員が増え、生徒は「自グローバル社会において新たな地方創生の道を切り拓いていく人材の育成のため、SSHやSGH、「OECD地方創生イノベーションスクール2030」のプロジェクトに参加している日高高校。なぜこうした挑戦が始まり、10年間でどう活動の幅を広げ、そして生徒にどんな効果をもたらしたのでしょうか。取材・文/藤崎雅子併設型中高一貫校 SSH SGH OECDイノベーションスクール 地方創生先進校に学ぶキャリア教育の実践グローバル社会における地方創生をにらんだ「地方の普通の高校」の挑戦日高高校(和歌山・県立)562016 OCT. Vol.414

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