キャリアガイダンスVol.415
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図3 高校魅力化の3つの柱た生徒には、「こういう自分だからこそ、この問題に取り組みたい」という確固たる軸が生まれると言う。 ひと言で、学びの場の魅力化といっても、新しい取り組みをゼロからスタートするのは容易ではない。 「『夢ゼミ』もそうでしたが、まずはノウハウをもつ人が手本を示し、研修などで全員が主体者として体験してみる。そこで狙いや効果を納得してもらったうえで、徐々に組織に浸透させていくしか方法はありません。生徒に成長の兆しが表れれば、それならやってみようかという賛同者が徐々に増え、進学実績などの数字につながれば、懐疑的だった人たちも巻き込まれていくと思います」 もう一点、民間の立場で高校と連携してきた経験から、藤岡には伝えたいことがある。 「同じ生徒でも、授業中と部活動中とで表情が異なることがあるように、地域の人と関わっているときも、生徒は別の顔を見せるもの。様々な角度から見ないと本当の人間像は浮かんでこないものです」 教員同士の情報交換や意識の共有が必要だと言われるのもそのためだ。 統廃合によって消える高校が増えている。その数、1年間に50校ほど。そこに藤岡は危機感を抱いている。 「高校に教育力がないと、優秀な生徒ほど地元から出て行く現象が生じます。まして近隣に高校が一校もないと、子育て世代が移住してくることはありません。そうやって過疎化が進む地方には諦めのムードが広がり、それは子どもたちにも伝染します。夢さえもてなくなるのはあまりにかわいそう。教育を核とした地域活性プロジェクトに挑み続けているのは、そうした理由からです」 現在、藤岡が関わっているプロジェクトは、北海道の羽幌町立天て売うり高校から、沖縄県立久米島高校まで全国に広がっている。なぜ、離島や中山間地域を中心に活動しているのか。 「課題先進国といわれる日本の中の、課題先進地域だからです。人口減少、少子高齢化、財政難など、近いうちに日本全体が直面するであろう諸課題がすでに顕在化しています。それは同時に、現に深刻な課題に立ち向かっている大人の生の話が聞けるということ。そうした課題に向き合うことも、これからの学び。20〜30年後の社会が到来しているからこそ、ここでの学びは、他地域でも生きてくるはずです」 もちろん、都会には課題がないかというと、そんなことはなく、見えにくいだけだ。課題の無い地域などなく、それぞれの場で、同様の取り組みはできると藤岡は言う。 「いずれにしろ、これからの社会を生きて働いていくうえで必要となる資質・能力を、高校と地域が一丸となって本気で育てる。そういう学びの場づくりが大切です。できれば、私たちのような外部の教育資源もうまく活用してください。若者を育てたいという思いをもつNPOや企業は少数ではありません。問題を抱え込まず、仕事を分け合い、共に力をつくしたいと思っています」新しい学びを組織内にいかに浸透させるか高校と地域が一丸となり生徒のための学びの場づくりをカリキュラム改革高校独自の授業を、総合的な学習の時間や学校設定科目で実施し、教育のブランド化を図る教育寮地元のみならず生徒を全国から募集。気づきと出会いを与え、教育的な付加価値をつける公営塾公設民営型の塾を設置。学力向上とキャリア教育の両輪で、学習意欲と学力を育成高校魅力化の3つの柱様々な角度から見ないと真の人間像は浮かんでこないカリキュラム・マネジメントで生徒が輝く学校づくり生徒数が減少していく時代に、学校をどう魅力化するか?112016 DEC. Vol.415

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