キャリアガイダンスVol.415
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 もちろん管理職には管理職としての仕事や役割があり、代わりはいません。同様に、教務部長の役割、学年主任の役割というものもあり、カリキュラム・マネジメントという発想が入ってきても、それぞれの仕事がないがしろになってはなりません。大事なのは、全体を関連づけて見るようになること。教科担任制の短所は、自分の教科内の取り組みはわかっていても、他の教科が何をしているかわからない点。いっぽうで教科担任制の長所は高い専門性です。高い専門性をもちながら全体を統一的に見る。これは生徒にとって、とてもメリットのあることです。考えてみると、教科の授業は生徒に興味や関心を引き出すとともに、様々な取り組みを行う上での基礎をつくっていくようにも思います。 当然ながら、学校のことすべてを知っている教員は、管理職も含めて一人もいません。皆、知っているのは部分だけ。全員が集まったとしても、実は不完全です。だから、残念なことにいじめ等の問題の見過ごしが起きるのです。ですから、カリキュラム・マネジメントは全員でしなければならないというのは、極めて当然なこと。これを忘れてはなりません。 もう一点、カリキュラム・マネジメントで大切なのは、省察的であること。常に振り返り、本当にこれで良いのか考えながら、しかし前に進む。「石橋を叩いて渡る」といいますが、渡るために、大丈夫なように見えていても叩く。時に立ち止まり、時に一歩下がりながらも、確実に歩みを進めていくことが大切です。 次期学習指導要領では、カリキュラム・マネジメントの重要性を掲げたうえで、図1のように、「三つの側面」から捉えることが大切だとしています。そこからもわかるとおり、カリキュラム・マネジメントは目的ではなく手段。生徒がよりよい人生を送るために何をどう学び、どんな力をつけるかということの手段です。 そのために、学校での学びを魅力的なものにするわけですが、その場合も、魅力的とはどういうことなのかを深く考える必要があります。生徒にとって毎日が楽であることが魅力的なのか、希望の大学に入れるだけの力をつけてくれることが魅力的なのか。堀川高校の場合、生徒が「楽しんどい」と表現していましたが、しんどい時を経てこそ得られる楽しさがあるということです。「探究」とはそういう学習であり、魅力的な学びであり続けなければと思っています。 このように定義は各校ですればいい。そして、それが、中学生や地域からどのように見られるか、という評価もまた各校が受けるべきです。 重要なのは、現状、目標、課題という3つの要素が認識できていること。目標から現状を引き算すると課題が見えてきます。課題が見えないとしたら、目標があいまいか、現状が見えていないか、それとも両方ともないか。「こんな力を生徒につけたい」という目標を設定し、「今はどうなのか」という現状を認識し、課題を明らかにしていくことが必要です。 繰り返しますが、何のためのカリキュラム・マネジメントかといえば、生徒のこれからのため。学びのデザインのクライアントは生徒であり、未来社会です。 生徒をどう成長させるかというのが教員という仕事の根幹ですが、一人ではなかなか進まない。カリキュラム・マネジメントという発想は、教員が生徒のことをどう考えればいいか、そして、どうしていけばいいか、それを具体化する手だてとなる。そんな風にも感じています。生徒にとって、その学校の何が魅力なのかを考えるカリキュラム・マネジメントで生徒が輝く学校づくりなぜカリキュラム・マネジメントが必要なのか?152016 DEC. Vol.415

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