キャリアガイダンスVol.415
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 少子化が著しい岡山県北部一帯では、この十数年間で大規模な県立高校再編が進められてきた。かつて地域随一の進学校として知られていた落合高校は、2004年度に就職希望者の多い至道高校を吸収し再出発。そして11年度には農業系専門学科をもつ久世高校と統合し、新たに真庭高校として生まれ変わった。真庭高校は前身校の流れをくみ、普通科と看護科・専攻科を置く落合校地と、生物生産科と食品科学科を置く久世校地により構成される。本記事では、真庭高校落合校地を中心に、落合高校時代からの混乱をどう乗り越えてきたかを紹介する。 校長の常本直史先生は同校落合校地のルーツとなる落合高校について、「優秀な人材を輩出してきた重い歴史がある」という。しかし、少子化によりじわじわと進んできた生徒の多様化は、最初の学校統合で一気に進行。そんな大学進学を目指す生徒ばかりでなくなった状況でも、教育の方針や内容はかつて国公立大学進学者を多数輩出していた時代のままという問題点が次第に顕在化していった。当時を知る教務課長の水本謙一先生はこう振り返る。 「例えば伝統的に行ってきた朝学習では、自分の目標達成のためというよりやらされ感が目立つなど、従来の指導に生徒の意識がついてきていない状況でした。多くの教員は、学校が変わる必要性を感じていたと思います」 しかし、有効な手立てもないまま、久世高校との統合が決定。「この学校はどこに向かうのか」と、教員は共通の危機感をもつようになったという。 転機が訪れたのは、久世高校との統合を目前にした10年度だった。県教委が実施する「総合的な学習の時間」(総学)対象の「高等学校教科指導パワーアップ事業」推進校として、同校(当時二度の学校統合を機に生徒が自ら考え行動できる「地域を支える」人材の育成へ落合高校)が選ばれたのだ。 それまでの同校の総学は進路ワークを埋めていく作業を中心とした内容で、教員アンケートでは常に満足度が低かった。これを探究的な内容にリニューアルすることが、本事業の趣旨だ。 中山順充先生にはそれまでの勤務校で探究的な総学に取り組んだ経験があり、同校の総学に対する課題意識がとりわけ強かった。「やらせてください」。多様化した生徒の実態に合う教育実践への足がかりとして、生徒が自ら考え行動する探究活動を行いたいと、一担任だった中山先生が推進リーダーに名乗りをあげた。研究主任のもとで中山先生が具体的な企画・推進を担い、各学年団と話し合いながら新しい総学のプログラム構築にあたった。2011年設立/普通科・看護科/生徒数301人(男子59人・女子242人)/進路状況(2016年3月実績) 大学18人・短大7人・専門学校17人・就職11人・看護科専攻科23人・その他1人学校データ取材・文/藤崎雅子二度の統合で学校の方向性を見失いつつあった同校。生徒が自ら考え行動する総合的な学習の時間への改革が転機となり、学校は活気を取り戻しました。その成功のポイントに迫ります。進学校としての教育が生徒の実態とかい離高まる危機感のなか総学改革に活路を見出す図1 「真庭トライ&リポート」3年間の見通しかつて子どもたちが駆け回って遊んだ「しめ山」。これを世代を超えて交流できる場にするプロジェクトに、地域と共に取り組んでいる。③ HOW TO LIVE進路実現・卒業後の生活のために学ぶ(進路別課題学習)実体験生徒の変容② WHAT TO LEARN自分で課題を設定し、調べる(課題別グループ学習)質・量の向上① HOW TO LEARN物事を調べ、まとめる方法を学ぶ(課題別グループ学習)カリマネはどのように取り組まれているか?学校現場で162016 DEC. Vol.415

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