キャリアガイダンスVol.415
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を変えるのではなく、なぜおばあさんは不安感をもったのか、どうアプローチすべきだったのかを考えさせ再訪問を促した。 「我々にとって『TR』で一番大事なのは、地域を活性化させることではなく、生徒を成長させること。だから失敗してもいいんです。そんな試行錯誤にこそ本当の学びがあるのです」(中山先生) 以前、落合高校に勤務し、10年ぶりとなる今年度、真庭高校落合校地に副校長として戻ってきた森川道安先生は、「まったく違う学校になった」と驚いたという。生徒は物事に前向きに取り組み、「TR」の活動成果は外部のコンテストで入賞するなどの成果も出ている。率先して人のために行動できる生徒が増え、街中で同校生徒に助けられたとお礼の電話が入ることも珍しくない。 最初から明確な目標と綿密な計画があったわけではなかった。どの教員も変革の必要性は感じていたものの、その内容はばらばらだった。そんななかで「TR」を軸に学校の変革をリードしてきた中山先生の基本姿勢は、「失敗してもいいから、まずやってみよう」。手探りで取り組むうちに、まず生徒の意識が変わった。そのことが教員の気持ちを束ね、「地域を支える人材の育成」という共通の思いをもって力を合わせるようになった。実践しながら少しずつ教員の視点を揃えていく。これも「カリキュラム・マネジメント」の1つの始まりのかたちだろう。 「最初から完成品を作ろうとすれば、いつまでたっても始めることはできなかったかもしれません。大切なのは、失敗してもいいから、まずやってみる。それを評価して次に改善することで、どんどんよいものになっていくのではないでしょうか」(中山先生) 改善のために、同校は毎年度末、生徒アンケートを実施している。昨年度からは探究学習に力を入れる高校と連携し、同じアンケート項目を使用して学校間比較も含めた調査・分析を始めた。 「教員は私も含めて保守的で変化が怖いものですが、勇気を出して一歩を踏み出すことが大切です。本校は形だけの前年踏襲はなく、その一歩を常に続けてきました。生徒と一緒に先生方も成長していると感じます」(常本校長) 生徒募集の面では依然として定員割れが続いているが、志願者は着実に増えている。学校全体でつくってきた上向きの流れを、さらに加速させる方針だ。 「今後も事務室を含めて課題を共有し、学校全体で総力を挙げて改善を図っていきたいと考えています」(常本校長)校長常本直史先生副校長森川道安先生教頭山本芳美先生教務課長水本謙一先生進路指導課長寺坂幸三先生TR推進リーダー中山順よりみつ充先生「まずやってみよう」が切り拓いた新たな学校の姿真庭高校 落合校地のカリキュラム・マネジメントの概要●地域の課題の解決をテーマに探究活動を実施●地域における「体験」の質と量を重視●地域との協働プロジェクトへの取り組み推進リーダー+学年団●「TR」への全教員の参加●「TR」から始めたシンキングツールの活用を全教科の授業に拡大(1)知識や技術を確実に身に付け、思考力、判断力等を養い、主体的に課題を解決する資質能力を持った人間を育成する。(2)生涯にわたって自ら進んで学び、絶え間なく変化する社会に対応できる人間を育成する。(3)社会規範を尊重し、人を思いやる心など豊かな人間性を身に付け、心身ともに健康でたくましい人間を育成する。(4)郷土の伝統や文化、産業に学び、広く社会の発展に貢献できる人間を育成する。地域・社会との連携教育目標実行主体者・体制カリキュラムのPDCA学校全体の動き反映成果リーダーシップ連携・協働規定・支援リーダーシップ地域に出てインタビューなどから情報収集年度末に成果発表会を開催他校と共通の項目による生徒アンケートによる「TR」の効果測定を実施研究事業や「TR」活動報告をまとめた冊子を毎年作成カリキュラム・マネジメントで生徒が輝く学校づくり真庭高校 落合校地(岡山・県立)192016 DEC. Vol.415

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