キャリアガイダンスVol.415
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 他にも校外との連携活動を多様に取り入れ、生徒たちに様々な大人たちと接する機会を設けている。例えば、総合探究科の「海外探究研修」では毎年ハーバード大学を訪れている。現地の学生との交流に備えて、日本文化を紹介するプレゼンシートの作成や自己紹介を、英語でできるよう準備していく。生徒たちは日常の探究学習でディベートや発表のスキルを身に付けているため、カタコトの英語でも臆せず質問をするという。この研修に当初否定的だった教員も、生徒たちの成長や、ハーバードの講義を教員自身が経験できたことで、帰国後に「すごかった!」と興奮して語っていたそうだ。 また、ビジネス探究科の「企業研究」で一部上場企業を訪問したり、教科の探究授業で官公庁と連携するカリキュラムを組むことで、生徒のみならず教員の知的好奇心も刺激し、探究学習への意欲を高めている。 「生徒たちは環境を与えると、どんどん新しいことを身に付けて先に行きます。教員がついていく方が大変です」(杉山先生) 「教員も初めてのことばかりなので、全教員対象のディベート研修など、スキルアップもはかっています」(平井先生)教頭小杉哲也先生富士市教育委員会指導主事遠藤 健さん総合探究科平井延佳先生スポーツ探究科杉山秀幸先生外部との多様な連携により教員の探究意欲も高まる富士市立高校 開校前後の動向2007年3月『魅力ある市立高校をめざして̶富士市立コミュニティー・ハイ・スクール構想̶』報告書作成●地域の生徒・教員のアンケートや、時代・地域環境をもとにした提言⇒市立高校の方向性2008年9月★吉原商業高校教員によるグループワーク●現場教員による市立高校の具体的な構想の検討⇒学科再編の練り直し2011年4月★富士市立高校開校※最初の2年間は、吉原商業として入学した生徒と並行授業課題解決型学習「究タイム」(総合的な学習の時間)を探究学習のカリキュラムとしてスタート(図2)2012年4月★地域交流課設置地域連携コーディネータの役割を担う校内分掌2013年3月★富士市立高校として入学した生徒の初の卒業生を輩出⇒「究タイム」の振り返り(毎年)。⇒微調整しながらカリキュラムをブラッシュアップ2016年~★教科での探究学習の深化★ルーブリックの作成●総合探究科の「社会探究β」や、ビジネス探究科の「総合実践」に探究学習がひろがる⇒カリキュラムの内容、実施方法、評価方法の改善(随時)2009年4月『富士市立高校改革基本計画』発表(図1)⇒★現場の教員による、具体的なカリキュラム・マネジメントがスタート⇒ビジョンの具体化●目指す学校像「夢実現高校(ドリカム・ハイスクール」「コミュニティ・ハイスクール」に「探究の精神に満ちた高校」が追加★学校内に「富士市立高校開設準備室」設置●全教職員を3学科の検討委員会、5つのワーキンググループに編成⇒具体的な教育活動カリキュラム作成スタート★他県の先進校の視察、カリキュラム・マネジメントについての考察⇒「探究学習」について、市立高校に合ったカリキュラム開発に向けての調査、研究2007年8月「富士市立高校改革基本構想策定委員会」設置●市立高校の「基本的枠組み」「教育理念」「教育課程の基本的な考え方」の検討開始●メンバー:「あり方懇話会」の一部メンバー、市教委、学校管理職など2008年3月『魅力ある市立高校をめざして̶「夢実現高校(ドリカム・ハイスクール」「コミュニティ・ハイスクール」』報告書作成⇒「探究学習」について言及⇒学校理念、特色、基本的枠組み、教育課程の基本方針、運営方法などについての提言2008年7月『富士市立高校改革基本構想』発表●2011年の市立高校開設に向けての具体的なスケジュールを提示「富士市立高校開設準備委員会」設置●基本構想の具体化計画●メンバー:学識経験者、中学校校長、市立高校教員、市教委など2010年4月『富士市立高校改革実施計画』発表⇒開校までに実施すべき個別計画の整理(開設準備委員会)●振り返りの検証時期も計画に盛り込む★企画研究課設置⇒探究学習を具体化するカリキュラム・課題解決型学習「究タイム」を策定⇒企画・調整をすべて取り仕切る校内分掌を設置  同校が開設して6年目を迎えた。個別の授業では毎年微調整を行っているが、新高校全体での検証と改善段階に入っている。総学を小中学校で経験している生徒が多いことから、「究タイム」でスキルを学ぶ最初の単元を圧縮し、発想や思考の時間を増やしてレベルアップを図っている。また、開設時より総学に関わる教員が増えたため、教員同士の授業目標に対する共通認識を強化。半年後、1年後、3年後にそれぞれ生徒に何を身に付けさせたいかをシンプルに言語化して共有している。 探究学習で力を伸ばす生徒が増える一方で、新たな課題も見えてきた。 「『探究力(考える力)』が高い生徒と、『知識(基礎学力)』の高い生徒が二層化しています。海外探究研修に行った生徒が英語に興味をもち始めたように、探究の力で基礎学力を上げられるよう、相乗効果を狙った仕掛けが今後は必要と考えています」(遠藤指導主事) そのためにも、探究学習を通じて生徒に付けたい力の多面的な評価を検討。ルーブリックを作成中で、来年度からの導入を予定している。学校改編に始まったカリキュラム・マネジメントを学校運営の日常の流れに組み込んでいる同校の今後に期待したい。(★が学校現場での取り組み)2005年11月「富士市立高校あり方懇話会」設置●富士市立吉原商業高校が「富士市立高校(以下「市立高校」」への改編が決定●メンバー:教育学の専門家、同窓会、地域の識者など⇒今後のあり方を検討開始探究力と学力の相乗効果を狙った仕掛けが必要カリキュラム・マネジメントで生徒が輝く学校づくり富士市立高校(静岡・市立)232016 DEC. Vol.415

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