キャリアガイダンスVol.415
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る時代だから共学にしたい」などとさらに対話を重ねた。 大橋先生はまた、先生同士にも対話を求めた。自分たちのミッションは何か、そのためにどんな授業をしたいか、教科ごとに根本から議論してもらったのだ。例えば佐藤先生をはじめ理科の先生は、SSCの教育課程や授業モデルを中心になって考えたが、その作業は、ミッション実現のために何が必要かを皆で落とし込む形で進められた。 「サイエンスリテラシー」を伸ばすという学校方針のもと、SSCのミッションとして掲げたのは、「研究者たる姿勢を育むこと」。どうすればその姿勢が育つかを議論するなかで、「先端的な研究にふれさせたい」という方向性が決まり、そのためにどんな設備を揃え、どう使うかまで話が及んだ。また、「研究者としてどう行動すべきか、生徒自身に考えてほしい」という思いを共有したことで、サイエンスの社会への影響をよく知る科学者などを講師に招き、生徒が課題を一緒に考える、という特別講座の開設も決まった。 そのように、まずは目標を共有し、実現の手立てまで皆で考えたことが、良かった、と佐藤先生は感じている。 「それまでも皆一生懸命でしたが、どこに向かっているのかはよくわかりませんでした。それぞれ自分のなかで生徒に大事だと思うことをやっている感じで。ですが、対話を通して、全員でどこに向かうのか、そのために自分は何をがんばればいいかが、わかりやすくなったんです。価値観を共有して『皆でやっている』と思えるようになりました」(佐藤先生) もっとも、それぞれの先生には長年培った授業スタイルや学習観がある。ミッションを共有し、教育カリキュラムや授業モデルを再構築したとはいえ、表面上は同じでも目指す方向性に食い違いが出てくることはあるものだ。 そこで大橋先生は、進路・学習指導部という校務分掌を進路指導部と学習指導部に分割。このうちの学習指導部を「21世紀型の世界標準の教育について勉強し、校内に推進する部署」と位置付けた。そして他校で教務・研修分野で実績のあった田中潤先生を部長に抜擢。各先生の取り組みの方向性が四散せず、相乗効果を上げていけるような仕掛けを求めた。 田中先生は、夏休みや冬休み、春休みに全員参加で行う約48時間の全体研修を柱に、年間の研修計画を構想する。この48時間の全体研修の話をすると、他校の先生からは「うちでは受け入れられそうにない」と言われるそうだ。実際、田中先生も反発を受けた。個別に先生の反応を探ったとき、ある教科主任から『なんでこんな大変なことをしなきゃいけないんですか!』と返されたのだ。 「でも、僕はそうやって主張し合うことは、新しいものをつくるうえで大切だと思うんです。進んで対立はしたくないですが、対立を悪いものとは思わないようにしています」 異議を唱えられた田中先生は、「何のために研修をやるのかという『目的』を先生たちと共有できていなかった」と反省した。そこで職員会議を開いてもらい、「目的を共有せずに研修をやることを優先して申し訳なかったです」と謝り、改めて研修にかける思いを訴えた。田中先生が全体研修の目的に見すえたことは何か。三田国際学園高校 近年の動向2013年度●大橋先生、学園理事に就任 全教員と面談、学校の理念やこれからの学校教育のあり方について思いの共有を目指す●全教員参加の教職員研修スタート●次年度からの「スーパーサイエンスコース」「スーパーイングリッシュコース」開設に向けて、「本科コース」も含めて、各コースのミッション(使命)を教員間で議論・共有2015年度●三田国際学園高校に改称、共学化スタート●教員研修でルーブリック(学習の評価観点)の作成 教育理念「知好楽」にもとづくメタルーブリック作成 それをもとに各教科のルーブリックを試案、全教員で共有●三田国際学園としての第1回学園祭を開催●教育用デジタルコンテンツの管理システムの本格運用2016年度●教員研修で教科横断(クロスカリキュラム)の授業を模索●既存の学校行事を活用し、生徒が観光客の日本誘致の ためのプレゼンをするプログラムを計画2014年度●戸板女子高校からの校名改称・共学化決定●大橋先生、学園長に就任●田中先生が着任、学習指導部部長に 価値観などを共有する年間48時間の研修制度構築●外部広報+教員バイブルを目指した学校パンフレット作成●先生全員がタブレット端末を使いこなせる体制を目指す考えを主張し合い、思いを共有する研修を強化員バイブルを目指した違う意見の教員と対話負担に感じた教員と対話カリキュラム・マネジメントで生徒が輝く学校づくり三田国際学園高校(東京・私立)252016 DEC. Vol.415

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