キャリアガイダンスVol.415
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 このところ注目されている「カリキュラム・マネジメント」。しかし、従来行ってきた年間の指導計画などと一体何が違うのか。カリキュラム・マネジメントを専門に研究されている岐阜大学の田村知子先生は、「カリキュラム・マネジメントという言葉が登場したのは、1999年ごろ。総合的な学習の時間が始まったことがきっかけです」と、その歴史を紐解く。キュラムなのだと。そして、総合的な学習の時間も教育現場に入ってきました。ところが、先生たちの多くは、本当に困ったわけですよね。どのように取り組んでいけばいいのか、どう評価すればいいのか。それがきっかけとなって、カリキュラム・マネジメントという言葉が誕生しました」 同様の時期に、学校管理規則が市町村で作れるようになったり、学校長の予算権や人事権が拡大したり、教育課程の大綱化・弾力化が進み特色ある学校づくりが始まるなど、教育現場の多様化・個性化への動きも進む。 「裁量権が広がり自由度が高まったからこそ、その分、結果も求められるようになりました。どのようなことを行って、それによって生徒がどういう力をつけたのか。そのような評価を行う必要も出てきました。だからこそ、単に指導計画の表を作るのではなく、なぜその表を作るのか。そのための目標やビジョンを明確にする。そして、実際にやってみてできたこと・課題として積み残したことなどを残し、確実に次年度につなげていく。そのような一連の流れが不可欠で、それがカリキュラム・マネジメントであるということです」 つまり、ことさら新しいことに取り組むのではなく、従来の取り組みを学校全体で一つの流れとして捉え直し、より明確に目標を共有したうえで授業を展開し、その見直しを次年度にも引き継いでいく。そういう循環を生むことが大事だといえそうだ。 「そのために、学校として何を目指していくのか、どんな子どもたちを育てていくのか、基本的な方針やビジョンを示して、先生方に納得してもらうのが、管理職の方々の役割だといえます」 とはいえ、その方針やビジョンを、先生一人ひとりが納得し「自分事」として捉えられないと、具体的な授業展開にしっかり落ちていくことが難しい。 「私は、先生たちの〝参加〞が特に大事だと思っています。そのため、まず皆さんに、生徒の良いところ、強み、伸ばしていきたいところ、課題だと思うところ、新たにつけてあげたい力など、現状を、課題も含めて具体的に話し合ってはいかがでしょうか。そして、それらの実態把握を、現状のカリキュラムと突き合わせて考えてもらう。特に2年生3年生の今の姿 「それまでは教育課程経営や授業経営と言っていたものですが、そこでは教育計画をいかに書くかを中心に考えられていました。次第に『紙に書く』ことだけが目的化して、時に『紙キュラム』と呼ぶような、形骸化したものもありました。しかし、カリキュラムは〝学びの総体〞を指します。同じ授業をやっても、子どもによって残るものと残らないものがある。つまり、結果的に子どもたち一人ひとりに違うカリキュラムが形成され、そのような個々の学びの履歴がカリ教師も、生徒も、〝参加〞がキーワード教育計画を立てるだけでなく〝学びの総体〞がカリキュラム学校全体で生徒のことを話し合う仕組みづくりを取材・文/清水由佳学校で生き生きと学び、将来にわたって大きく成長していく。そのような生徒を育てるため、多くの高校ではさまざまなカリキュラムづくりや授業研究が行われています。そんな取り組みを支える考え方で重要になるのが、「カリキュラム・マネジメント」。ここでは、カリキュラム・マネジメントの研究者で、多くの学校現場での実践にも協力されている岐阜大学・田村知子准教授と京都大学・西岡加名恵准教授に、管理職や現場の先生たちそれぞれに向けて、アドバイスを伺いました。管理職の役割とアプローチとは?現場教師の282016 DEC. Vol.415

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