キャリアガイダンスVol.415
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は、これまでのカリキュラムの結果です。良い姿は、どの教育活動がうまくいった結果なのか。もしかしたら、こんな経験が足りないのではないかなど、全体で話す機会を作っていきます。そうすることによって、学校長などが言っている目標やビジョンと一致していくことが見えたり、『ここ、ちょっとがんばってみようか』という納得感につながりやすいのです」 さらに、〝参加〞の重要性として、先生たちだけではなく、〝生徒の参加〞も大きな役割を果たすという。「ある進路多様な学校のケースですが、子どもたちに『将来どのような大人になっていきたいか、高校3年になったときどんな人になっていたいか』などのアンケートをとりました。すると、『今まであまりがんばり切れなかったから、資格をちゃんと取得してみたい』とか『新聞を読めるようになりたい』など、もっとこうなりたいという自分の姿を真面目に回答してくれたんです」 そのアンケートを整理し、先生たちが話し合った結果と合わせていくと、育てたい目標がかなり具体的になってきた。そして、目指すべき21か条が完成したのだという。 「各教科では、21か条の中のひとつでもふたつでもいいので、意識して実現できることを授業の中に取り入れていきました。さらに、授業研究も定着させていくことで、生徒の授業満足度も85%くらいまでに上がり、入学時には学力的に厳しい生徒も力をつけて卒業する学校として評価が上がりました」 その学校が、特別に先生たちの意識が高かったわけではない。むしろ最初は、先生同士の協働性はあまり高くなく、学年別・教科別の壁がかなりあったとか。 「でも、生徒の生の声は、先生たちを動かす原動力になります。生徒には元気で幸せになってほしいというのは教員共通の思いです。だからこそ、話し合うときも必ず、『生徒について』話をしてもらう。学校方針などを具体的に決めていくときは、目の前にいる生徒の姿や学力調査の結果、実際に取り組んでいることの資料など、できるだけ現状を踏まえて落とし込んでいくことがコツです」 そのような多くの先生の参加を受け入れ、活かしていく構えがあることも、学校長や管理職に求められる大事なポイントのようだ。 「基本的な校訓は変わりませんが、生徒の変化や成長によって、何を目標にするかという意味が変わってきます。そのような生徒の現状を読み解いて、今うちの高校ではどういう姿を目指すべきなのか。何を変えていくのか。そういうことを、学校長や管理職は当然考えなければいけませんが、すべての先生に意識し考えてもらうことも大事です。全員での話し合いとまではいかなくても、学校長との目標面談などの機会に、学校で目指すことと関連づけた授業実施やクラス運営の話をしていくよう意識できるといいのではないでしょうか」 「究極的には、1時間1時間の授業をねらいのある、意図のある、質の高いものにしていく。1時間が終わったところで子どもたちがどんな意欲、知識を修得しているのか、どんな発見をしているのか、どういう姿になっているかを意図していくわけです。そして、それをもう少し長く、単元レベルで考え、さらに引き延ばして1年間で、3年間でどうなのか。さらには、教科を超えて、キャリア教育との関係など、意図やねらいなどを意識的に織り込みながら授業を行う。それが、目指したい姿です」 その中で、今現在行っていることの中で変わらなければならないことと、続けていくべきことが明確になってい九州大学大学院人間環境学府博士課程単位取得退学、教育学博士。高校教員を経験したのち、中村学園大学准教授を経て現職。日本カリキュラム学会(理事)、日本教育経営学会、日本教育工学会などに所属。中央教育審議会専門委員なども務める。小学校から高校まで、さまざまな現場でのカリキュラムマネジメント、教員研修、学校経営などに携わる。カリキュラムマネジメントに関する著書・編著書多数。岐阜大学教職大学院 准教授田村知子先生著書『カリキュラムマネジメント―学力向上へのアクションプラン―』(日本標準)学校として何を目指していくのか、どんな子どもたちを育てていくのか。基本的な方針やビジョンをすべての先生に納得してもらうことが管理職の先生の役割です。今できていることを喜び合いエネルギーにしていく編著書『「カリマネ」で学校はここまで変わる!続・学びを起こす授業改革』(ぎょうせい)カリキュラム・マネジメントで生徒が輝く学校づくり管理職の役割と現場教師のアプローチとは?292016 DEC. Vol.415

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