キャリアガイダンスVol.415
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伝統ある男子校としての厳しさと教師との深い信頼関係を通じて、新しい時代のリーダーを育成する住友正博報徳学園中学校・高校 校長すみとも・まさひろ1955年生まれ。同志社大学文学部卒業。80年より母校報徳学園の社会科教諭。国際理解教育、入試広報などに取り組む。教務部長、副校長などを経て、2014年より現職。学校運営の舵を取るトップに聞く報徳学園中学校・高校(兵庫・私立)1911年報徳実業学校設立。19年二代目校長として二宮尊徳翁嫡孫の二宮尊親氏就任。52年現校名に改称。2016年に創立105周年を迎える。高校に「選抜特進コース」「特進コース」「進学コース」の3コースを、中学に「Ⅰ進コース」「Ⅱ進コース」を設置。クラブ活動が盛んなことでも知られる。まとめ/堀水潤一 撮影/有田聡子 私が生徒として本校に在籍していた当時、報徳講話という授業がありました。人に対する感謝の念など、二宮尊徳翁の功績や教えを学ぶ時間でした。この授業は今も、報徳教育部という部署を通じ、担任によって月に一度実施しています。難解な内容もありますが、私がそうであったように、いつか人生のプラスになることを期待して、伝え続ける必要があると感じています。もっとも、厳しい練習に励む運動部の生徒が、朝早くからお弁当を作ってくれる母親に感謝の言葉を述べる場面などを目の当りにすると、そうした教えが蓄積していることも感じます。 当時から変わらないこととして、生徒指導の厳しさもあげられます。頭髪や服装の乱れに対する指導は、今の時代、敬遠されることもありますが、社会人としての基本。ひるまず続けていきたいです。 いっぽう、言われたことをそのまま受け入れていればいい時代でもありません。自分の考えをもち、行動に移す。課題を見つけ、周囲の人々の理解を得ながら、同じ方向を目指す。こうして場の役割を果たすだけではなく場自体をつくる。これこそリーダーシップです。厳しい予選のある英語スピーチコンテストや、歯を食いしばりながらの六甲山競歩大会など、さまざまな挑戦型プログラムを通じて、そうした資質を育みたいと思っています。 進路指導にしても、判断材料こそ与えますが、最終的に決断するのは生徒自身。そのとき、本人にごまかしがあってはいけません。そのため、「決断する以上は責任をもつのは自分。逃げずに成し遂げろ」と迫るくらいの勢いが必要です。このように生徒と対峙できる雰囲気があるのも、男子校ならではと感じています。 学習面では、コース制の見直しを進めていきます。手始めに、現在、高校では3つの異なるコースの枠を超え、難関大学受験を考えている生徒を募り、特別講座を実施する予定です。というのも、成績優秀ながら、練習に打ち込みたいなどの理由で学習量の多いコースに入らない運動部の生徒もいます。これはもったいないこと。コースに関係なく、やる気のある生徒を引き上げていきたいのです。 同様の理由から、現時点での学力レベルに合うようコースの入れ替えを、より柔軟にしていくつもりです。努力次第で上位のコースに上がれるような指導にも力を入れます。そのため、学習支援ソフトなどのICTも活用しながら自学自習しやすい環境を整えていくつもりです。 大切なのは、やり直しがきくステージが常にあること。運動部でも、なるべく退部させない方向で指導していますが、なかには辞めてしまい気持ちの整理ができずにいる生徒もいるはずです。置かれた状況に変化が生じたとしても、新たな目標を描きやすい環境をつくり、情熱と愛情をもって教師が支える。そうした姿勢もまた、報徳らしさだと感じています。道徳教育や生徒指導に加え挑戦型の体験プログラムが充実コースの枠を柔軟にすることで生徒の「やる気」に応える392016 DEC. Vol.415

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