キャリアガイダンスVol.415
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ねる仕組みを整えた。 「子どもを取り巻くありとあらゆる関係者がつながり、皆が教育の主体になる」。教育を学校任せにしないことが今後目指す方向性だと語ると、会場に共感が広がった。 「今日は皆さんに地域学を体験してもらいます!」。常松徹校長による魅力化プロジェクト説明の後に登壇したのは、中村怜詞先生。 まずは隠岐島前の現状をデータで示し、なぜ若者は帰ってこないのかをグループで話し合う。「愛着がないからではないか」という意見には「愛着ないですか?」「なぜ?」とツッコミを入れたり、関連する情報を与えながら全体で共有。次は、強みは何かについて。大事なのは課題を課題と認識したうえで、目の前にある資源や価値を生かすこと。メインのワークは隠岐島前に人を呼び込む策を考えることだ。1人観光客が来ると誰が収益を上げるのか? 年間の観光客数は? 他地域と比べて隠岐が勝るポイントは? ここでもデータや事例を示しながら話し合いと共有を重ねる。最後は客足の落ちる冬に観光客を呼び込むプランを考えた。 地域学は学習編と実践編からなり、STPD(See ‒ Think ‒ Plan - Do) のサイクルで進めるのが特徴だ。まず現実を見る、知る、それから考え、計画したことを実践する。考えてばかりで外に出ないとうまくいかない。このサイクルを授業から大きなプロジェクトまで3年間で何度も回すのだ。 遠野からは一番遠い宮崎県の五ヶ瀬から来た西山正三先生は、訥々と、時にユーモアを交えながら1時間半語りきった。同校ではSGHに申請するにあたって「ローカルから野性味あふれるグローバル・リーダーを育成する」ことを目標とした。課題研究とスキルを学ぶグローバル・リーダー・トレーニングを2本柱とするが、スキルは課題研究にも生かされる。 生徒に伝えているのは「課題研究は社会的、学術的発展のために行われるべき」という考え方。個人の興味・関心だけでは続かない。個人の思いと社会の要請の重なる部分をテーマとするよう指導している。そして、知識だけではなく必ず体験すること、実際にやってみること。今年は、五ヶ瀬を活性化するための生徒の自主的活動団体「GK課(五ヶ瀬を活性化)」も生まれ、生徒の動きはますますダイナミックになっている。 イギリス、バングラデシュ、モンゴル、フィンランド、ローマと世界にも研修・フィールドワークの場を広げつつ、11月に地元、五ヶ瀬で開催した「グローバルシンポジウム IN 五ヶ瀬」では地域課題を扱う。全生徒が参加して役場や森林組合などから大人を招き、グループディスカッションを行った。身近にある異文化に気づくこともグローバルへの入り口だと考えているからだ。レポート2参加者も体験隠岐島前高校の「地域学」岐阜県立可児高校の取り組み島根県立隠岐島前高校の取り組み 地域の諸団体や行政と連携して、地域課題解決型キャリア教育を行っている。昨年からは、学校と地域をつなぐNPO縁塾がコーディネートし、まちづくりに生徒が参加する場を用意。1学年の夏には全員が、興味のある活動をしている大人たちと対話する「OPENエンリッチ」に参加。2、3学年では有志生徒がさまざまなプロジェクトに参加。 扱うテーマは「地域医療」「防災」「政治参加」「耕作放棄地解消」「多文化共生」など。活動例としては医師や市職員など複数の専門家と高校生が、地域課題について解決方法を考えるIPE(InterProfessionalEducation=多職種間連携教育)や、市議会や市選管職員等と共に生徒向け模擬選挙プログラムの企画運営したことなどがある。これらの活動を通して生徒の学習意欲、キャリア意識、郷土愛が向上したとの手応えを得ている。 市議会では、意見書の形で提案された高校生のアイデアを行政側に伝え、今後のまちづくりに生かすことを企図し連携している。小誌Vol.404(2014.10)掲載 島外、県外から積極的に生徒を受け入れ、全学年1学級にまで減った生徒数が15年前の水準にⅤ字回復という結果をもたらした隠岐島前高校の魅力化プロジェクト。地域づくりと人づくりを一体化して「地域の未来を築く人財の育成」を掲げる同校の取り組みは、現在第2期に入っている。      1~2年次の総合学習「夢探究Ⅰ」「夢探究Ⅱ」では「自分のやりたいこと」かつ「地域や社会に貢献できること」でもある夢(志)を描く。今年度からスタートした「地域生活学」は1年次の家庭基礎(2単位)保健(1)、2年次の情報(2)保健(1)総合的な学習の時間(1)を統合し、各科目で重複する部分の時間を探究学習に充て地域課題解決に取り組んでいる。 さらに深めたい生徒は3年次で学校設定科目「地域地球学」を選択し、地域や地球規模の課題を考えながら、課題解決に取り組む。昨年度、SGH指定校となってからはシンガポール、ブータン、ロシアなど海外での学習も充実させグローバル視点を強化してきた。 小誌Vol.404(2014.10)掲載レポート3SGHでさらに進化する五ヶ瀬中等教育学校452016 DEC. Vol.415

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