キャリアガイダンスVol.415
47/66

 隠岐島前高校の「地域学」を体験するワークショップの中には「地域学の課題を考える」というワークもあった。参加者からは「学校と地域の、成果についての意識の違いは埋められるのか」「教師側に伝えたいものがしっかりないと難しいのではないか」「教師と地域の距離を縮めるのに時間がかかるのでは」といった指摘があったが、確かに初年度の中村先生の多忙感は非常に大きかったという。継続していくうえでは教育スキルの継承と向上や、何年も続けると新しいテーマが生まれにくいことも悩みだ。「結局、毎年毎年、少しずつ変えながらやっています」 同じく「教える人がいない」ことを課題としていた五ヶ瀬中等教育学校では、誰でも教えられるようなテキストの必要性を感じて啓林館が作成している『課題研究メソッド』の企画編集にも携わり、近く出版される予定だ。 初期に挑むべき課題があるのは当然だが、実践を積み重ねれば、そこでまた新たな課題が見つかる。地域連携をすると関係者が増え、複雑度が増すとはいえ、教科の授業改善とプロセスは共通するのではないだろうか。 次期学習指導要領で「総合的な学習の時間」は「総合的な探究の時間」への名称変更も含めた見直しが検討されている(図2)。学びの過程についての考え方には「探究のプロセスを通して(略)各教科等の「見方・考え方」を総合的(統合的)に活用し、広範かつ複雑な事象を多様な角度から俯瞰図2 次期学習指導要領における総合的な学習の時間の学びの過程のイメージ(高等学校)して捉え、実社会や実生活の複雑な文脈の中で物事を考えたり、自分自身の在り方生き方と関連付けて内省的に考えたりする(略)児童生徒にとっては試行錯誤を繰り返すことによりこうした過程を行ったり来たりすることも重要であり、時には失敗したり立ち止まって前提を疑って考えることがあってこそ探究的な学びである」(審議のまとめより)とある。 4校の実践はそれぞれ違うが、どれもここで描かれた姿そのものに見える。生徒にとって、そして教師にとっても豊かな学びが、地域と連携した課題探究活動からは生まれそうだ。 2日目には「復興ボランティア学」および質問によって課題を明確化する「アクションラーニング」のワークショップが行われ、発表した先生方も参加者とともに学び合った。隠岐島前高校 校長常松 徹先生五ヶ瀬中等教育学校西山正三先生遠野市役所菊池陽一朗氏遠野オフキャンパス講師建築家安宅研太郎氏可児高校浦崎太郎先生隠岐島前高校中村怜詞先生花巻北高校進路指導助川剛栄先生(元遠野高校)課題の設定情報の収集整理・分析まとめ・表現学習方法■仮説を立て、それに適合した検証方法を明示した計画を立案する ■仮説を立て、それに適合した検証方法を明示した計画を立案して探究活動に主体的に取り組もうとする(主体性) ■目的に応じて臨機応変に適切な手段を選択し、情報を収集する■必要な情報を広い範囲から迅速かつ効果的に収集し、多角的、実際的に分析する ■複雑な問題状況における事実や関係を構造的に把握し、 自分の考えを形成する ■視点を定めて多様な情報から帰納的、演えき的に考察 する ■事実や事実間の関係を比較したり、複数の因果関係を推理したりして考える ■相手や目的、意図に応じて手際よく論理的に表現する ■学習の仕方や進め方を内省し、 現在及び将来の学習や生活に生かす探究活動と 自分自身 ○課題に真摯に向き合い、より適切な課題の解決に向けて探究活動に主体的に取り組もうとする(主体性) ○自分の特徴を生かし当事者意識と責任感をもって探究活動に向き合い、計画的に着実に取り組もうとする(自己理解) ○探究的な課題解決の経験の蓄積を課題解決への信念や自信、自己肯定へとつなげ、更に高次の課題に取り組もうとする(内面化)探究活動と 他者や社会○互いを認め特徴を生かし合うなど、課題の解決に向けた探究活動に協同的に取り組もうとする(協同性(協働性)) ○異なる意見や他者の考えを受け入れながら探究活動に向き合い、互いを尊重し理解しようとする(他者理解) ○探究的な課題解決の経験の蓄積が、自己有用感や実社会・実生活に貢献しようとする態度へとつながり、社会の形成者としてよりよ い社会の実現に 努めようとする(社会参画、社会貢献) と ■知識は、学校種が上がるほど高度化・構造化する  ■技能は、思考スキルを中核とし、学校種が上がるほど自覚化・脱文脈化する 知識実社会の課題に関する事実的知識(※)の獲得課題設定のスキル情報収集のスキル思考のスキル(比較・分類・関連付け)表現のスキル技能 概念的知識(※)の形成 学ぶことの価値や意義の理解※総合的な学習の時間で扱う内容は各学校において定めることとなっているため、知識の具体は各学校において異なる。中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ」(2016年8月26日)より地域連携は未来の学びの姿472016 DEC. Vol.415

元のページ 

page 47

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です