キャリアガイダンスVol.415
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図6 SPHに関するアンケート結果より授業や実習等に積極的に取り組むことができ、学ぶ意欲が高まった学びを通して、新たな知識・技術を習得することができ、自分のスキルアップにつながった課題に対して解決方法を自分で考え、行動する力が高まった自分の将来の職業に対する意識が高まった■思う ■どちらかといえば思う ■どちらかといえば思わない ■思わない0255075100(%)生徒SPH事業(授業等)を通じて、生徒の興味・関心、知識・技術が向上し、生徒に変化が見られたSPH事業(授業等)を通じて、教員の専門分野に関する技術や生徒への指導力等が高まったSPH事業(授業等)を通じて、学校全体の教育活動が充実し、活性化した教員33.327.743.750.921.72026.751.751.746.751.940.537.754.18.73.92.63.2108.31017.113.28.216.72511.73.2校長神谷弘一先生の生徒と共有した。「英語に苦手意識をもつ生徒が多い」というが、こうした活動を通じて、語学力の前に、コミュニケーションしようという姿勢や積極性が大切であることを学んだようだ。 4つ目の柱は「豊かな創造性」の育成だ(図5)。「工業高校の枠組みの中でのみ活動していては発想が貧困になってしまう」と、多様な学校と連携することで創造性の育成を推進している。 具体策の1つが、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定校である県立豊田西高校の活動の一部への参加。事業開始年度から次世代自動車の研究施設の見学や、豊田市次世代エネルギー事業のモデル都市での学習を両校が合同で行った。 「同じものを見学しても、工業科の生徒と普通科の生徒では興味や視点が違うので、発する質問の観点も違ってきます。1つの物事に対して多様な視点があることに気づき、そこから発想が広がっていく効果を期待しています」 また、農業科や福祉科などの専門高校や、小中学校、特別支援学校との連携も行っている。例えば、昨年度の「課題研究」では、ある研究班が県立高浜高校福祉科が実習で使用する介護用ベッド昇降部を電動化する補助機器を製作し、介護者の負担の軽減に貢献した。また別の研究班は、豊田市立豊田特別支援学校の生徒のために缶つぶし機や模擬自動販売機を製作し、生産活動やレクリエーションに役立ててもらった。 ものは使われて初めて人の役に立つ。校外連携を通じてそのことを実感し、生徒のものづくりに対する意識が変化してきたという。 「以前はただ何かを作っただけで満足して終わっていた生徒たちですが、使い手が見えることで、どうすればより役に立つか、相手の立場に立って考えるようになってきました」 生徒の意識の変化や成長は、データでも明らかになっている。昨年度末に実施したSPHに関する生徒アンケートでは、授業や実習等に主体的に取り組む意欲、課題解決能力、知識・技術の習得、職業観の変化に関する各質問項目について、それぞれ肯定的な回答が9割近くにのぼった(図6)。 そんな同校の着実な進化の一方で、工業高校を希望する中学生は減少傾向にあるという。しかしながら神谷校長は「工業高校出身者は今後も高いニーズがある」と、さらなる教育の充実に余念がない。 「大学で学んだ人材は頭で『考える』ことが得意ですが、それを実際に『作る』人材がいなければ産業は成り立ちません。ものづくりには『考える』人と『作る』人の両方が必要なのです。これからも、社会で必要とされる『作る』プロの育成に取り組んでいきます」 同校は、工業高校の存在感の低下の背景の1つに、子どもたちのものづくり体験の少なさがあると考える。幼少期からものづくりを身近に感じてもらおうと、生徒は学習の一環として小中学生にものづくりを教える出前授業を実施したり、こども園で幼児のおもちゃ作りや施設の補修などを行う。 「地域の方には『こんなものが作れないか』とどんどん案件を本校に持ち込んでほしい。それは生徒にとってやりがいのある授業や研究のテーマになりますし、地域に工業高校の技術を知ってもらう機会にもなります。地域のものづくりの中核となることで、工業高校としての存在感を示していきたいですね」使い手を意識した課題に取り組む地域のものづくり拠点として存在感を示していく自分の作るもので人に喜んでもらいたい これまでの高校生活を振り返ってみてまず頭に浮かぶのは、「課題研究」で取り組んでいる、小中学生にものづくりの楽しさを伝える活動です。先日は小学生と一緒にポンポン船作りをしました。小学生はうっかり危険な行為をしてしまうこともあるので、ケガをしないようサポートを心掛けました。作った船がうまく水上を進んだとき、小学生の子たちが嬉しそうにしていた姿が印象に残っています。 僕は工作機械に触れたくて機械科に進みました。単に「作ることが好き」だったのです。それが、「課題研究」で子どもたちと関わり、自分のものづくりを通じて人の役に立ったり楽しませたりすることの喜びも知ることができました。 卒業後は自動車部品メーカーへの就職が内定しています。僕の作った製品でお客様に喜んでいただけるようにがんばっていきたいです。機械科3年松尾駿希君532016 DEC. Vol.415

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