キャリアガイダンスVol.415
61/66

 大阪府立今宮高校は、100年を超える伝統を受け継ぎながら1996年に普通科から改編した総合学科高校。校則ではなく生徒自治会による「自主規制」を設けるなど、生徒の自主性や多様性を重んじ、幅広い知識を得ながら一人ひとりの目指す進路を実現することを大切にしている。進学率はおよそ98%で、多くの生徒が4年制大学に進む。 同校は総合学科だが系列を設けず、生徒一人ひとりが1科目ずつ選んでいく完全アラカルト制をとっている。2年生では18単位(6〜9科目)が選択となるため、1年生の早い段階から進路を見据えて考えるよう促している。 入学後すぐに進路情報の提供を始め、6月には最初の進路ガイダンスを開催。今の時代の働き方について考えられる冊子『キャリアスコープ』や『文理科目選択応援ブック』を配布し、進路決定へ向けて動機づけを行っていく。同時に保護者に向けてもリクルートによる講演を開催。文理選択のポイントや今の社会事情・進学事情、子どもとのコミュニケーションのとり方などについて理解を促す。 1年生の2学期はさらに科目選択のために多くの時間を割く。メインの進路行事は20人ずつに分かれて行く大学訪問。「大学とはどういうところかを知り、早くからの意識付けとなるよう、事前学習、事後報告も丁寧に行っています」と2学年主任の畠井 浩先生は言う。 11月には2年生の選択科目を決定。学校はできるだけ多くの情報を提供し、最終的に生徒が主体性をもって自分で調べて決めるという過程を大切にしている。 2年生になると、すぐに具体的な進路先検討に入れるよう『進学事典 研究号』を配付し付属の適性テストを受ける。6月には志望分野や学部ごとの説明を聞く分野別説明会を開催。ここでどの分野の話を聞くかを決めなくてはならないため(1人2分野)、適性検査は自分の進みたい分野を真剣に模索する仕掛けである。そして『進学事典 研究号』で早くから具体的な学校名も調べ始める。「2年1学期を深く自分を見つめ、自分について考える時期にしてほしい」と畠井先生は言う。 7〜8月には今度は自分の希望する大学のオープンキャンパスに行き、9月には3年0学期として「受験宣言」を行う。本当の3年生になる前に、受験準備として1・2年の基礎学力をしっかり固めておきたいとの考えからだ。そして、2年生の12月には3年生の選択科目24単位(10〜12科目)を最終決定する。 同校は、生徒が自分たちで考えて行動する修学旅行をはじめ行事が多く、また部活動も盛ん。多忙ななかでも周囲に流されることなく進路を考えられるよう、早め早めのタイミングできめ細やかに情報提供を行っている。「3年生の早いうちに志望校が決まっているのが理想。さまざまな取り組みの結果、最近それができてきました」と進路指導部長の鈴木芳一先生は言う。 一方で、今後の課題として「社会人の生の声を聞く機会を設けられないか」と言うのは教頭の中嶋義博先生。多彩な進路情報の提供と生の声や体験を組み合わせることで、生徒が自身の進路についてより深く考え、確固たる意志をもてるようになってほしいそうだ。創立1906年/総合学科生徒数(普通科)757人(男子247人・女子510人)進路状況(2016年3月実績) 大学進学174人、短大進学6人、専各進学26人、就職4人、その他27人取材・文/永井ミカリクルートサービスを活用した1年次4月進路情報提供6月進路ガイダンス(卒業後の進路について)7月保護者説明会(進路講演)、進路ガイダンス(進学・就職・入試制度)8月大学訪問概要説明・希望調査9月大学訪問調べ学習10月2年次科目選択説明会、大学訪問、進路HR(評定平均値)11月大学訪問報告会12月学部・学科別説明会1月成績・学力の振り返りと進路指導2月2年生進路課題への準備指導2年次4月進路適性検査5月保護者説明会、評定平均値について、分野別説明会希望調査6月分野別説明会7月保護者説明会(奨学金に関する講演)8月オープンキャンパス参加・レポート提出9月進路講演会(3年生0学期講演)12月進路対策説明会希望調査1月進路対策説明会(各志望大学・専門学校・公務員の傾向と受験対策)、保護者説明会(入試動向講演)2月進路希望調査■ 進路指導年間計画 (1~2年次、抜粋)教頭中嶋義博先生(中)進路指導部長鈴木芳一先生(右)進路指導部・2学年主任畠井 浩先生(左)進学事典研究号ツールや講演で情報提供し進路への関心を高める2年生3学期=3年生0学期に向けて進路を絞り込んでいく多彩な進路情報を提供し主体的な進路志望決定を促す今宮高校(大阪・府立)612016 DEC. Vol.415

元のページ 

page 61

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です