キャリアガイダンスVol.416
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212017 FEB. Vol.416生徒の主体的な進路選択のために文部科学省でキャリア教育担当の調査官などを務める長田先生と、その前任者である藤田先生のお二人を迎え、小誌が隔年で実施している「高校の進路指導・キャリア教育に関する調査」の結果を踏まえつつ、キャリア教育の現状と課題について語っていただきました。おさだ・とおる●石巻市立雄勝中学校社会科教諭、仙台市教育委員会指導主事などを経て、2011年5月から文部科学省。現在、初等中等教育局 教育課程課 教科調査官、同児童生徒課/高校教育改革プロジェクトチーム 生徒指導調査官。国立教育政策研究所 生徒指導・進路指導研究センター 総括研究官、同教育課程研究センター 教育課程調査官を併任。ふじた・てるゆき●筑波大学教育学系助教授、同大学院博士課程人間総合科学研究科准教授などを経て、2008年文部科学省 国立教育政策研究所 生徒指導・進路指導研究センター総括研究官。同省 初等中等教育局 児童生徒課 生徒指導調査官(キャリア教育担当)および同局 教育課程課 教科調査官(特別活動担当)を併任。13年4月より現職。文部科学省 初等中等教育局 生徒指導調査官長田 徹筑波大学 人間系 教授藤田晃之――本日は貴重な機会をありがとうございます。今回の調査では、9割以上の先生方が「進路指導が難しい」と回答しています。その要因として感じるものを質問したところ、図表1(p22)にあるよう、「進路選択・決定能力の不足」や「学習意欲の低下」といった生徒の主体性に関する回答が上位にあがりました。このことについてお考えをお聞かせください。長田▼「進路選択・決定能力の不足」ですが、生徒の問題とばかりは言えないと思います。というのも、子どもはある程度の発達段階になると、心の中に答えをもっていても、きっかけや自信がないと言語化できないことがあります。そんなとき大人は、つい「こうなんでしょう」と先回りしてしまいがち。そうやって意思決定や合意形成のトレーニングを積まないまま進路選択の場面に来てしまうこともあるのではないでしょうか。藤田▼確かに、文化祭や修学旅行の他、学校生活のなかで意思決定を促せる場面は無数にあるけれど、意外にスルーしてしまい、コンピテンシーとしての意思決定能力や課題対応能力を養う機会を逃しているかもしれません。それぞれの場面で、少しだけアドバイスをしたり、揺れ幅を広げたりすることで育つ力もあるは取材・文/堀水潤一 撮影/西山俊哉ずなのにもったいない気がします。長田▼他にも単純に生徒の問題と言い切れないのは、進路を選択する際の要素が、学力以外にも多岐化している事実がありますから。藤田▼そう。一部の大学を除き、入学しやすさが高まっていますし、かといってその先がクリアに見通せるわけでもありません。子どもの貧困率も上昇し、進学したくても事情が許さないことも。そうした社会的な文脈まで考慮しないといけません。――進路指導が難しい要因の1位にあがった「教員が進路指導を行うための時間の不足」については、どうお考えですか?長田▼主に3つの偏重が原因になっていることが多いと感じています。1つ目は進路指導部任せになっていること。学校全体の体制になっていないため、一部の担当者に負担が偏るのです。2つ目は3年生への指導に偏重していること。本来、3年間を見通した系統的な指導をするべきなのに、卒業の音が聞こえ始めてから動きだす。3つ目は、個別指導に傾斜しすぎていること。先生方の誠実さには頭が下がりますが、生徒一人ひとりに何から何まで面談していては、いくら時間があっても足りません。早い時期からガイダンス的な指導を積

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