キャリアガイダンスVol.416
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252017 FEB. Vol.416進路決定力とは次に行くところを決めるだけの力ではない探究の時間、学校行事、さらには各教科の学びをつないでいく。そうした図式で捉えると、キャリア教育の方向性が見えてくると思います。長田▼「キャリア・パスポート」(仮称)の活用が促されている点も重要です。小学校から高校まで、児童生徒が学習状況や課外活動を記録するポートフォリオのことで、自らの成長や学びを振り返ったり、キャリア形成を見通したりするうえで、極めて重要なツールになるでしょう。藤田▼そこには、今までであれば散逸していた小学校時代に書いた将来の夢や、中学校時代に書いた就業体験の記録が残されていると思います。これは進路指導において非常に役立つはず。例えば、進路調査の「将来の夢」という項目に「特になし」と書きなぐる生徒への指導は難しいものがありました。でも、「特になし」と書かざるを得なかった、本人さえも気づいていないヒントがキャリア・パスポートに隠れているかもしれません。長田▼子どもが「特になし」と書くときには、特に何かありますからね。先生との信頼関係が損なわれたとか、家庭環境に大きな変化があったとか。藤田▼そうなると一方で、生徒の気持ちに寄り添えるだけの力量も、教員に問われることになるでしょう。長田▼できれば高校卒業後もつながるようなものになるといいですね。藤田▼それまで積み上げてきた自分を振り返ることで、就活の自己PRで路頭に迷う大学生も少なくなるはずです。自己肯定感が生まれるようなツールになればと期待しています。――最後に改めて、生徒の主体的な進路選択についてお聞かせください。藤田▼進路決定力というのは、わかりやすい言葉である半面、決定さえすればいいかのような誤解を生む恐れもあります。大切なのは、進路決定に伴って育まれる諸々の力。決定後に変更が迫られることも無数にあります。そのとき、逃げずに向き合うとか、他者と協力するなど、多くの力が必要であり、それらをすべて包含したものが進路決定力だと思います。3月31日時点で次に行くところを決めるだけの力ではありません。長田▼先ほどお話しした大規模調査でも、3年生の前半時点である程度、計画的に考え、進路を決めた生徒は、図表4 「アクティブ・ラーニングの視点(主体的・対話的・深い学び)による授業は、    以下のどの生徒の力の向上につながると思うか?」に対する回答基礎的・汎用的能力の数値がいずれも高いことがはっきりしています。藤田▼長田先生も同じ表現を使われますが、能力というのは例えば広げたハンカチのようなもので、一点を引き上げると、他も引き上げられていくもの。進路決定力だけがブロックのように積み上げられるのではありません。進路決定力を高めることは、他の力も高まるものだし、高まらないのであれば、進路決定力とは言えないでしょう。長田▼「主体的」というのも、積極性というよりは、「次への意欲」というニュアンスが含まれる言葉だと個人的に感じています。進学や就職はゴールではなく、生涯、挫折や迷いの連続です。そのとき、振り返ったり、這い上がったりできる力を含めての、主体的な進路選択だと思います。そのためのトレーニングをする場が学校であり、だからこそ、冒頭の話に戻りますが、できるだけ多く生徒が意思決定する機会を作ってほしいです。※詳細は19ページ参照1位コミュニケーションスキルの向上62.7%2位主体性・多様性・協働性の向上62.3%3位思考力・判断力・表現力の向上56.7%4位学びに向かう姿勢の向上45.6%5位基礎的な学力(知識・技能)の向上18.5%生徒の進路選択・決定力 どう高める?【特別対談】生徒の主体的な進路選択のために文部科学省 長田 徹 × 筑波大学 藤田晃之

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