キャリアガイダンスVol.416
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1・2学年は体験的キャリア教育、3学年では進路未定者枠対応で、“見捨てない”指導を徹底1977年設立/普通科/生徒数632人(男子301人・女子331人)進路状況(2016年3月実績)/大学28人・短大6人・専門学校53人・就職85人・その他23人学校データ未来を切り拓いていける生徒生徒教員の関わり・姿勢プログラム・仕組み入学時進路選択時●地域社会の中に安住し、 外の世界との接点が 少ない。家庭などに さまざまな課題を抱える 生徒も。●外の世界へ目を向け、 進路を決定してから 卒業するという意識を もつように。学習意欲 の高まりも見られる。●各担任がクラスの進路決定率を意識●外部講師任せにせず、必ず担任が指導するという意識をもつ●どの生徒へも「見捨てない」気持ちで 接する●生徒と一緒に楽しんで学ぶ●外部機関との連携した体験的学習(ドラマケーション、金銭教育など)●東京都「人間と社会」との連動●勉強部活動「まなぶ」による学習支援●ユースソーシャルワーカーとの連携 (中退防止対策、進路未定者対策)自己理解進路情報収集進路計画立案取材・文/永井ミカ目指す生徒像▶進路指導実践レポート生徒の進路決定力を高める 東京都立青井高校は「社会人基礎力を伸ばす学校」「キャリア教育で未来を拓く学校」の2つを教育活動の柱とし、幸田諭昭校長のもと「青井フィロソフィ」と銘打った改革を進めている。 同校には学力や家庭環境の面で課題を抱えた生徒も少なからずおり、転退学者の数が最も深刻だった約10年前には、入学時の240人から135人にまで卒業生が減ったこともあった。 事態を打開するため同校はキャリア教育や学習支援等に力を入れる方針を定め、2012年度、東京都教育委員会から重点支援校の指定を受ける。翌13年度、進路指導部主任として着任した浦部ひとみ先生を中心に、NPOなどの外部団体と連携した体験的キャリア教育のプログラムへの取り組みを開始。結果、希望進路の実現率は14年3月の75%から16年3月の88%に躍進。16年度のキャリア教育に関する文部科学大臣表彰の受賞校にもなった。 3年間のキャリア教育プログラムを「キャリアデザインⅠ・Ⅱ・Ⅲ」として、ドラマケーションプログラムなど外部団体と連携した体験的授業を多く取り入れた同校。1年生では東京都独自の学校設定教科「人間としての在り方生き方に関する教科『人間と社会』」を「総合的な学習の時間」で実施しキャリア教育の基本的姿勢を身に付けさせている。ちなみに浦部先生は、「人間と社会」の教科書の編纂に携わった一人でもある。 しかし最初からすべてが順調に進んだわけではない。「課題の多い学校ですから、外の人に入ってもらうことに抵抗感をもつ先生もいらっしゃいました」と浦部先生。例えば「大学生とのワーク」にしても、生徒は楽しく充実した時間を過ごせているのに、「本校の生徒は大学への進学希望も少なく、大学生と接することには意味がない」などと一方的に決めつける声もあったという。 それでも諦めずに、学校外の人との関りが必要と訴え続けた浦部先生。「地域性もあり狭い範囲の中だけで生活が完結している生徒も少なくありません。自分の将来像のモデルになるような魅力的な大人との出会いのチャンスも少ないのです。限られた範囲の中でだけ将来像を描くのではなく、学校が、社会へとつながる人との出会いの場になれないかと考えました」と言う。 2年目からは前年度の反省も踏まえ、外部団体と教員との協力体制を築くべくさまざまな工夫を行なった。具体的には、事前事後の情報・意見交換の時間を明確に設定することで、外部団体と緊密なコミュニケーションを取るようにした。また、教員が授業者であり、授業を主導する立場であることをあらためて確認することで„お任せ“の姿勢を払拭した。そしてポイントは、疑問点・問題点があった場合、事前のすり合わせ、もしくは授業の進行中に提示すること。浦部先生は、授業の間、各クラスを見て回り、問題があったらその場で指摘してもらうよう先生方に伝えた。「ワークが終わってからでは、解決できるものもできなくなることがあるのです。課題を先送りしないで現場に向き合う姿勢が重要です」 結果、2年目からはプログラムがうまく回り始め、「ドラマケーションはクラスの人間関係作りにも役立つので、もっと早い時期にできないか」など前向きな意見も担任から出てくるようになっ希望進路の実現率が2年間で13ポイント増加外部団体の協力を仰ぎ視野を広げさせる262017 FEB. Vol.416

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