キャリアガイダンスVol.416
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 このようなやり方では、教員一人ひとりの生徒との関わりが重要だ。そこで同校では、指導の方向性がぶれないよう進路指導年間計画表を作成し、進路主任会議を毎週開いて、時期ごとの目標や各指導項目の留意点を共有している。また、教員のスキルの底上げのため、職員会議後に校内の教員が講師となって「スモールステップ勉強会」を年間10回程度実施しており、「志望理由書のまとめ方」「推薦を突破させる工夫」など進路指導のテーマで行うことも多い。 「最も教員が学びやすい場は、日常の職員室。面談は職員室で行われることが多いので、他の先生のやり方から多くを学んでいます」(三島先生) 昨年度、年2回実施したルーブリックは、全項目で学年が上がるほど数値が高かった。例えば、「情報リテラシー」は1年次第1回が平均値1・76(5段階評価)だったのに対し、3年次第2回が3・31。同様に「自律的活動力」は1・68に対し3・11だった。21世紀型能力が着実に身に付いており、進路選択時の主体的な態度・行動にも生きていると思われる。 3年間の高校生活で進路目標が変わる生徒も少なくない。昨年卒業したある女子生徒は当初、食べ物が好きという理由で栄養士を目指していた。1年次のマチプロでは、「食」による地元観光地への女子高生の集客をテーマに設定。独自の方法で自然栽培に取り組む農家に学んで、その農家の米を使ったクレープを開発した。農家の自然栽培にかける情熱や課題の話を聞いて流通に興味をもち、2年次のマチプロ図1 グローバル「町衆」事業の流れ進路課長三島誠人先生校長山下陽子先生さまざまな活動から生徒が感じたこと地元「倉敷」の再発見フィールドワーク/ラーニングカフェ →ポスターセッション県レベルでの俯瞰と海外飛躍海外研修、海外インターンシップ・課題研究(「キャリアⅠ」) →ポスターセッション 主体的に自らの進路を切り開くグローバルディベート大会では経済系グループで活動。地元の特産品を生かした商品提案をしたり、海外への工場進出を調べていくうちに発展途上国への融資にも関心が向くようになった。 そんな彼女が選んだ進路は、難関国立大学経済学部だった。センター試験の得点は自己目標には達しなかったものの見事合格を果たしたのは、「マチプロの経験に基づいた力強い志望理由書が高く評価されたからではないか」と山下校長は言う。マチプロの体験と、それを志へと昇華させ進路に結び付ける教員の働きかけは、生徒が自ら選んだ進路を切り開く大きな力にもなっているようだ。1年次2年次3年次多様な大人と語り合うラーニングカフェ(上)とポスターセッション(下)2016年度版グローバル町衆「21世紀型能力」ルーブリック。「言語リテラシー」「問題発見力」「キャリア設計力」など15項目について、生徒は各自5段階で評価する。分野別にグループで課題探究に取り組んだ「キャリアⅠ」のポスター原稿。オリジナル手帳「M-PRiDE」。定期的に担任がチェックすることで生徒の状況を把握。●改めて、社会には私の知らない職業がたくさんあることを感じました。(中略)もっと職業について、自主的に調べて、より多くの仕事についての知識を増やそうと思いました。 (フィールドワーク)●この講演で一番印象に残った言葉は、「やりたいことは知っていることの中からしか見つからない」という言葉です。僕は中学の時からずっと、(中略)知ろうとすれば世界が広がると思っていました。そして今日の講演でこの言葉を聞いて、僕の考えは間違いではなかったと確信することができました。(グローバルキャリア講演会)●どんな業界や職業においても、必ず誰かのためや社会、世の中のための仕事がほとんどなのではないかと思った。その人の笑顔や喜んでいる姿を見ることができるよう、みんな毎日命がけで生きて、働いているのだと思った。多くの仕事があって、世の中は成り立っていると思った。(フィールドワーク)●勉強が優秀なのではなく、人に寄り添ったり励ましたりできる人が、医療や福祉の仕事に求められていることがわかった。どんな職種でも大切なのはコミュニケーション能力だと思うので、これからもいろいろな人と関わりをもって、身に付けていきたい。(社会人講話)力強い志望理由が難関大学合格も可能に面談の様子生徒の進路選択・決定力 どう高める?【進路指導実践レポート】倉敷南高校2292017 FEB. Vol.416

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