キャリアガイダンスVol.416
30/66

 川口市立県陽高校は「地域社会に貢献できる『人財』の育成」を目標に「県陽高校構想」を打ち出し、2003年度から継続的に教育力向上に努めてきた。来たる18年度に他の川口市立高校2校と統合することが決定しており、同校の特長を精一杯引き上げて新校に受け継ごうと、現在は最後の仕上げに取り組んでいるところだ。 一連の「県陽高校構想」のなかで、07・08年度に重点的に取り組んだのは進路指導改革だ。当時は進路未決定者の多さが大きな課題だったが、早い段階から進路意識を高める3年間のプログラムを構築し、進路決定率100%を達成した。それから数年が経った今、「現状に合わせて進路指導も変えていく必要がある」と吉野浩一校長。15年度からは新たに「主体的な進路選択ができる能力の育成」を研究テーマとして、川口市教育委員会研究委嘱事業に取り組んでいる。「進路決定率100%」から「一人ひとりの主体的な進路選択」へと指導の重心を移した背景には、同校生徒の受け身な態度がある。進路指導部・細田圭子先生は生徒について「素直で真面目だけれど、自分から進んで取り組むことが苦手」と指摘。進路についても、「指定校推薦で受かるところに行ければいい」という消極的な選択が目立つという。進路指導主事の小境幸子先生はそこに危機感をもっていた。  「これから生徒が生きていくのは、変化が激しく不確かな社会です。キャリアチェンジの必要も増えていくなか、自分の人生を自ら切り拓いていかなくてはなりません。高校段階で主体的に進路選択をさせるとともに、この先の人生を自分らしく生きる力を育みたいと考えました」(小境先生) 生徒の主体的な進路選択に向けて、同校が意識しているのは自己理解・進路情報・進路計画・進路選択・問題解決の5つのキーワードだ。これらを盛り込んだ3年間のプログラムを構築し、LHRの時間を中心に展開している(図1)。 1学年は自己理解をテーマに掲げ、職業レディネステスト結果や「ジョハリの窓」を使ってグループワークを行い、多様な視点から自分自身を見つめさせる。昨年度は知識構成型ジグソー法による、大学や専門学校などの進路についての情報共有グループワークも行った。2学年のテーマは、社会・学問を知り、自分の方向性を定めること。大学や専門学校の協力を得て、分野別ガイダンスや模擬授業体験を実施している。そうして将来の目標をもたせ、3学年ではそれぞれの希望進路に向けた計画を立てさせ、実践的な指導を行う。「行ける」から「行きたい」が軸の進路選択へ。自ら情報収集や相談する行動を促す仕掛けづくり 「ただ話を聞くだけのガイダンスでは、生徒は『わかったつもり』になるだけです。グループワークや授業体験などを取り入れ、生徒の体と頭を動かす工夫をしています」(小境先生) しかしながら、用意したプログラムをこなすだけでは、同校が目指す「主体性」の育成には十分とはいえない。進路決定やその実現に向け、「自ら行動を起こす」ことを重視。その第一歩として、進路室に足を運ぶことを奨励している。 「進路についてどう動いていいかわからず立ち止まってしまう生徒は多いですが、まず進路室に来てもらえれば豊富な情報と経験豊かな教員によって、次に自ら行動するきっかけをつかむこと1942年設立/普通科/生徒数479人(男子264人・女子215人)進路状況(2016年3月実績)/大学91人・短大14人・専門学校39人・就職7人・その他8人学校データ地域社会に貢献できる「人財」生徒教員の関わり・姿勢プログラム・仕組み入学時進路選択時●自信がなく受け身●進路は「行けるところに 行く」という姿勢で、 指定校推薦を考える 生徒が多数●将来について真剣に 向き合う●進路に向けて積極的に 行動●「行きたい」を軸に 進路選択●進路室に足を運ぶことを第一歩とした、生徒の主体的な進路行動を促す●担任と進路指導部、校長など多様な教員が連携して個別指導を行う●3年間の体系的な進路指導プログラム●主体性育成・振り返りのための5つの 因子を設定●グループワークを交えた進路学習●オリジナル冊子「キャリアガイダンス」自己理解進路情報収集進路計画立案取材・文/藤崎雅子「指定校推薦で行ける学校へ」からの脱却を目指して自己理解から取り組む3年間の進路プログラム目指す生徒像▶進路指導実践レポート生徒の進路決定力を高める302017 FEB. Vol.416

元のページ  ../index.html#30

このブックを見る