キャリアガイダンスVol.416
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で一番いい経験ができる、大切にされる、成績ではなく達成感や変化・成長をきちんと見てくれる。そういう「体制」で迎えることが大事です。「数学は苦手だけど、国語で今回はがんばっていた」など、成長する姿を情報交換して見てあげるのです。 結局、教育者として「当たり前の役割」を思い出してくださいということなんです。「どうせこの学校に来る子たちは進路も就職も難しい」と偏見をもっていませんか? 教師は生徒を伸ばすことが役割です。例えば、「英単語をがんばって覚えて、小テストで良い成績をとれた」と先生同士の情報交換で聞けば、「がんばったんだって」とひと声かける。「数学つまらないと言ってるけど、国語で成績があがったじゃないか」など、良し悪しではなく、事実できているところを見つける。きちんと努力した結果や努力している姿を認めるということが大事です。それがなかったら、3年生になって進路の話をしようとしても、「この学校の先生にはわかってもらえない。話しても無駄」と思われてしまうのです。 もちろん、2年、3年の担任の先生も、成績だけではなく、前の学年からの変化や成長で見ていくことが大事です。前よりも元気になったとか、逆に元気がなくなったみたいだとか。生活面のことだけでなく、「最初は英語の文法がわからなくて苦労していた」というような話があれば、どう取り返していけばいいか、教科の中での話し合いはしやすいはずです。特に何か問題がある場合、家庭の事情は変えようがありませんが、教師が変えていけるのは、「教科」です。教科の中での達成感や成長によって、将来への期待や希望につなげていくことが、大事ではないでしょうか。 そのためには、3年間という区切りの中で、先生たちが縦や横、斜めの関係でつながりながら生徒に関わることが大切です。自分の城に閉じこもるのではなく、先生同士が情報共有していく体制が不可欠なのです。 一番難しいのは、何も言わない、目につきづらい生徒です。でも、目につかない=問題がないということではありません。もしかしたら、中学時代にお客様扱いされていた経験を引きずっているからかもしれません。もちろん、家庭環境や、発達障害的なこともありえます。これだけ社会が変化したら、子どもがどんな生活をしているかはわかりません。何も話さない子をそのままにするのではなく、先生がカウンセリング的な力、対話する力を発揮して、生徒と向かい合うことが大事です。例えば、「いつもお話ししないけど、何か考えごとがあるの?」など、聞いていけばいいのです。そして、「誰とだったら、話せそう?」と、自分以外でも誰かと話ができることを確認すればいい。部活の先生になら話せるとか、先輩や友人となら話ができているということがわかるかもしれません。そうやって、日常的に話しかけていく。廊下のすれ違いざまだって、話はできます。カウンセラーと担任の違いは、教師は日常的な環境の中で声をかけられる立場にいるということです。 そうやって誰かに気にかけてもらい、自分を認めてもらった経験は、未知の将来や直面する現実に自分をかける「勇気」につながります。教師は、新しい教育技法にばかり関心を向けるのではなく、「生徒が将来にわたって自己判断できる知識や態度を育てるとはどういうことか」を、今一度考えてみることが必要ではないでしょうか。教科を通じて成長を認めることが大切将来にわたり自己判断できる知識や態度を育てる先生同士が情報交換し、生徒のできている事実を認めていますか?362017 FEB. Vol.416

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