キャリアガイダンスVol.416
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これからの社会を生き抜くためにこれからの社会を生き抜くために身に付けてほしい身に付けてほしい自ら考え判断し行動できる力自ら考え判断し行動できる力平岩敬一学校法人桐蔭学園 理事長ひらいわ・けいいち1940年まれ。中央大学法学部卒業。弁護士として、神奈川スモン訴訟弁護団事務局長、全国霊感商法対策弁連代表世話人、商品先物取引弁護団団長、豊田商事事件弁護団団長、指紋押捺訴訟弁護団団長、大野病院事件主任弁護人などを務める。学校法人桐蔭学園評議員、理事などを経て、2012年理事長就任。学校運営の舵を取るトップに聞く桐蔭学園中学・高校、中等教育学校(神奈川・私立)1964年学校法人桐蔭学園設立。2001年中等教育学校第1期生入学。中学(女子部・男子部)、高校(女子部・男子部)、中等教育学校のほか、幼稚部、小学部、桐蔭横浜大学、桐蔭法科大学院を擁する。創立50周年にAgenda8(アクティブラーニング型授業、キャリア教育、個別学習支援、ICT教育、サイエンス教育、グローバル教育、芸術・文化教育、保護者の皆様との連携)を策定し15年より本格実施。まとめ/堀水潤一 撮影/強田美央 弁護士である私が本学園の理事長職に就いたのは、子どもたちの入学がきっかけです。中学男子部や高校女子部の父母会長などを務めた縁で、1992年に理事となり、法律面から長く学園をサポート。その後、創立50周年を2年後に控えた2012年に、前理事長から後任を託されたのです。それまで主に法務に携わってきた私ですが、教育に対する信念もありました。20、30年先、どのような社会になっているのかは、今の若者が受ける教育によって変わります。弁護士として、現実社会で起こるさまざまな矛盾に接する中、困難な時代を生き抜く力を身に付けることの必要性を痛感していました。 理事長になったことで、それまで見えにくかった現実も明らかになりました。創立以来50年、強烈なリーダーシップの下で進学等の実績を伸ばしてきた本学園ですが、過去の成功体験に縛られている部分もあって、社会が変化していくなかで改革を怠っているように感じたのです。なかでも、日本の初等中等教育における最大の問題でもありますが、知識詰め込み型の受験教育に偏重していることが気になりました。このままでは多様化、複雑化する社会に適応し、自らの人生を切り拓いていくことはできません。 そこで、次の50年を見据え、アクティブラーニング(AL)型授業、キャリア教育、個別学習支援、ICT教育、グローバル教育などからなる〝Agenda8〞を策定。これからの学園を担う中堅や若手からなる教育改革プロジェクトチームを中心に、改革をスタートさせたのです。 最大の目的は、「自ら考え判断し行動できる子どもたち」の育成です。そのためにALの第一人者である京都大学の溝上慎一先生を教育顧問に迎え、15年度から3年間かけて全校にAL型授業を導入する挑戦を開始しました。溝上先生の正しい方向性と的確な指導に、AL推進委員を中心とした本学園の先生方の理解と熱意が合致したこともあり、改革は浸透。初年度の公開研究会には、全国から約400人、今年度も600人以上の方にお集まりいただきました。 とはいえ、改革はまだ途上です。形だけのALに陥っては意味がないですし、従来型の講義を疎かにするつもりもありません。溝上先生自身、卒業後の追跡データの重要性を力説されているように、継続的な実践を経て初めて、世間に学習効果をアピールできるもの。一学校のためではなく、社会全体の問題として取り組みを続けていきたいと考えています。 公開研究会は、先生方のスキルアップにもつながっています。人生は一生勉強であり、人間は一生進歩するもの。「先生」と呼ばれる人であればなおさらです。将来を背負う若者を育てるという極めて重要な職業であることを自覚し、「このような職を選んでよかった」と思える仕事を続けてほしいと感じています。理事長になって見えてきたこれまでとこれからの50年 一学校のためではなく社会全体の問題として取り組む372017 FEB. Vol.416

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