キャリアガイダンスVol.416
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 2015年4月、高校生がクラウドファンディングで集めた約500万円により、脱線事故で故障した銚子電鉄の車両が修理され再び銚子の街を走り出した…高校生の快挙は新聞各紙やテレビでも報道されたので、ご記憶の方もいることだろう。 寄付を集めたのは銚子商業高校の科目、課題研究において地域活性化を研究テーマに選んだ3年生たち。卒業生の和泉大介さんは当時を振り返り「ここまでになるとは思いませんでした。4月、5月頃は車内販売や、犬吠駅でのコンサート、車内アナウンスの改善を考えていたんです。でも、銚子電鉄にプレゼンをしたり、打ち合わせを重ねるうち、本当に今困っているのは走れない車両があることと知りました」という。 クラウドファンディングで寄付を集めた知人がおり、アイデアが湧いた。でもどうすれば?他の3人のメンバーは賛成してくれるだろうか…。2週間かけて多数の寄付プロジェクトを調査し、3人に提案した。賛同してくれたメンバーと共に、銚子電鉄と打ち合わせをしながら返礼品を検討し、目標金額を決めた。7月にはスタートしたかったが、素材を揃え文章を考え、ページを公開したのは8月29日。推薦入試の準備と並行しながらも40日間で目標の300万円を達成。学校に直接届いた寄付を合わせて500万円超が集まったのだ。 銚子電鉄支援ではその後、車内デコレーションやお土産販売などのプロジェクトが生まれ、今年度企画したコスプレイベントでは、普段は入れない車庫や車内での撮影が可能とあって多くのコスプレファンで賑わった。同じく今年度、先輩の活動に憧れて講座を選択したという尾池月奈さんが中心となって、老朽化した駅舎をきれいにする「銚電メイクアップ・プロジェクト」が始動。再びクラウドファンディングに挑戦し、目標の100万円を超える約199万円を集めた。お金を集めるだけでなく、ペンキを買い、駅舎を塗り直すのも生徒たちだ。 専門科目である課題研究を、同校では商業科・情報処理科が共同で開講している。①資格取得 ②小論文③調査研究 ④観光 ⑤地域活性化の5つの講座を設け、進路希望や関心に応じて生徒が選択する。生徒36人(今年度)の地域活性化講座を指導するのは商業科の石毛宏幸先生と3人の若手教師だ。 前任校で08年度から3年間、文科省の研究開発校として地域と連携したキャリア教育の開発に取り組んだ石毛先生は「商業高校が地域活性化の中心機関として機能するような教育活動を展開することは、実践的な学習活動の機会となるとともに、地域社会に貢献することにもつながる」(※)と説く。高い教育力を実感し、これからの教員は地域と連携した教育ができなければならないと、毎年、若手教員の指導に力を注いでいる。 現在、講座では「新商品開発」「ウオッセ21への出店運営」「銚子電鉄の支援」の3グループに分かれて活動を行っている。新商品開発ではこれまで、ぬれ煎餅を使ったアイスや竹久夢二にちなんだ和菓子などを開発。特産品を使った「キャベツメロンパン」は銚子市のふるさと納税の謝礼品に採択された。また、15年度に山崎製パン・JA・千葉商科大学と共同開発した「四角いメロンパン」は3カ月で20万個以上を売り上げるヒット商品になった。 店舗数の減少が続いていた商業施設・ウオッセ21に「銚商夢市場」を出店するグループでは、商業科目で学ん地域に貢献できる人、地元を愛する人の育成を目的に掲げることも多い地域課題解決型キャリア教育。授業を受けた生徒はどのように成長したのでしょうか。今回はその成果を卒業生の言葉も交えて探ります。「私たちが動けば地域の人々も動き出す」街を動かす起爆剤となった商業高校の課題研究銚子商業高校(千葉・県立)第10回取材・文/江森真矢子銚子電鉄支援だけではない地域活性化プロジェクト※石毛 宏幸「地域と連携した実践的ビジネス体験学習―千葉県立東金商業高等学校における『キャリア教育』」より422017 FEB. Vol.416

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