キャリアガイダンスVol.416
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する愛読書をもち、名言や気に入ったフレーズから価値観を巡る心の旅をするように生徒に勧めています。 ぜひ、国語の先生のみならず多くの先生方に、愛読書や好きなフレーズを生徒に紹介してほしいと思います。 プロジェクト学習などの実学とは距離があると思われるアートは、実は実学の礎ではないかと考えています。上の写真は私がニューヨーク近代美術館に行ったときの写真です。そこでは、子どもたちが先生とアート作品を見て回っていました。先生が「この絵を見て何を思う?どう感じる?」と子どもたちに問いかけると、子どもたちは、思い思いに「苦い!辛い!」とか、「なんか怒ってる感じ」とか、自由に感想を表現していました。日本であれば先生による作品解説が中心かもしれません。しかし、この先生は子どもたちの感想をひとしきり聞いて、早々と次のアート作品に行き、同じことを繰り返していました。子どもたちの「寒い!お腹にどーん!って感じ」という言葉が美術館に響きます。 プロジェクト学習のように、生徒が主体的に意見を言う場面が多い時ほど、意見を言う生徒は大体決まってきます。クラスで自分の意見を述べる生徒が大体決まっているのと同じです。意見を言える生徒と、そうでない生徒は何が違うのでしょうか。 美術関連の仕事をしている方にアートの社会的な意義は何かと聞いたことがあります。彼は「アートの前では人は平等であり、自由だ」、「アートには答えがない。一人ひとりの感覚や考え、解釈があってこそ。そこに答えはないし、解釈は多種多様でいい。むしろ、アートに対する解釈や感想が、自分の感覚に気付かせるきっかけになる」と教えてくれました。 アートを通じた感想には正解がありません。ゆえに誰かに評価されるものではなく、自身の感想を堂々と述べてよい。すべての感想が答えであり、多様であるほど良いのです。感想や意見を述べることに慣れた子どもたちは、自分の感想や意見を物怖じせず言えるようになるでしょう。「寛容物怖じせず意見を発する姿勢を生み出す美術文学美術自分自身の軸を元に決めたテーマについて物怖じせず議論し目的意識を明確にできる表現(作品を作る、感想・解釈を述べる)により①価値観・感覚への気づきが深まる②挑戦が生まれ、自信をもつ契機となる図表1 PBLと文学・美術(隠岐ノ國学習センターの「夢ゼミ」を例に)あってこその挑戦」と言われています。アートは寛容だからこそ、挑戦が生まれます。やがて自身の意見に自信をもつきっかけになるのではないでしょうか。 プロジェクト学習では、自身の意見を発する主体的な関わりが求められます。その姿勢を育むのに美術は有効です。実は、美術教育と成績向上の関連性を示す論文も存在しています。美術における鑑賞教育の先進事例は、他教科でも参考になるかもしれません。 以上、文学や美術はプロジェクト学習を進めるうえでの基礎になる力や姿勢を育むということについて述べてきました。時代の変化により、今までの教科の意義を問い直し、今後、新たに必要とされる学力と関連づけることが大切になってくるでしょう。 受け継ぐ、とは「先人から受けて、今に合う形で継ぎ直すこと」という意味です。高大接続において新たな学力観が提案される今こそ、今までの教育を受け、継ぎ直すことが必要になるのだと思います。価値観の例となる自分の感覚を磨く教科の意義を問い直し新たな学力観に継ぎ直そう●自分の意見を思い切って言う●自身の価値観を元にテーマ(マイプロジェクト) を決める●プロジェクトを実行する452017 FEB. Vol.416

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