キャリアガイダンスVol.416
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全校をあげたキャリア教育の取り組みと授業力の向上により、実社会で活躍する人材を育てる北尾元一常翔学園中学・高校 校長きたお・もとかず1953年生まれ。79年大阪工業大学高校(現・常翔学園高校)に理科教諭として着任。生徒指導部長、教頭を経て、2006年より高校校長。08年学園理事。11年常翔学園中学校校長。趣味は自然観察、野菜作り、スポーツ観戦。学校運営の舵を取るトップに聞くまとめ/堀水潤一 撮影/有田聡子 私が大阪工業大学高校の校長に就任したのは2006年のことです。その2年後に、現在の常翔学園高校へと校名を変更し、さらにその3年後には常翔学園中学校を開校。地域有数の進学校を目指す中高一貫校となりました。 こうした一連の改革に先立ち、建学時の思いを改めて言語化しようという動きが教職員の間で起こりました。その結果まとめられた教育の理念が、「『自主・自律』の精神と幅広い『職業観』を養い、目的意識を持った進学の実現により、将来、実社会で活躍できる人材を育成する」というものでした。 「工業科を廃止し、普通科のみの進学校になったのに『職業観』というのはどうか」という意見もありましたが、「大学の先を見据えることこそ大切」という思いが勝り、結果として、その後のキャリア教育の流れを先取りする形になりました。 当初は、総合的な学習の時間を中心に、一部の教員によって始めたキャリア教育プログラムですが、その後、担任を中心に、サブにキャリア教育担当をつけながら拡充。今では、「Josho Careea-Up Challenge」として全校をあげた取り組みに発展し、本校の柱となっています。 具体的には、高1の全コースで「企業探究学習」を実施。企業6社の協力の下、企業課題に取り組む課題解決型の学習です。全生徒が1年間かけて懸命に取り組むだけあって、校内優勝チームを決める発表の場は、さまざまな感情が入り混じった独特の雰囲気に包まれます。その後、高2では、大阪市旭区と連携し、実際の行政課題に対して解決策を提案する「ヤングリーダーズプラン」の他、実践力を磨くプログラムを各コースで実施。高3の「夢実現プラン」へとつなげます。 こうした経験を積み、21世紀型スキルを身に付けた生徒は、進学後も確実に力を伸ばします。母校に遊びに来た卒業生から、大学での活躍ぶりを聞くのは楽しいものですが、活躍を褒めたところ、「僕には高校時代のアドバンテージがありますから」と返されたこともありました。大学だけではなく、社会に出てからも活躍してくれることを期待しています。 キャリア教育に加え、教育の基礎となる授業力の向上にも力を入れています。自分のスタイルが確立している先生もいますが、年2回、生徒に対して行っている授業アンケートを次学期に活かしたり、公開授業期間中、評価の高い先生の授業に触れ、刺激を受けたりしてほしいです。 今後は、ICT教育やグローバル教育を含め、新しい教育活動の推進室となる部署を立ち上げ、これまでの取り組みを改善しつつ、前へ進めていこうと考えています。5年後の2022年は創立100周年の節目の年。充実したキャリア教育と進学指導によって、高い学力と人間力を兼ね備えた人材を、これからも育てていきたいと思います。校名変更や中高一貫化など相次ぐ学校改革をけん引コースの枠を柔軟にすることで生徒の「やる気」に応える常翔学園中学・高校(大阪・私立)1922年関西工学専修学校創設、33年関西工業学校開設。「一貫コース」に加え、「スーパーコース」「特進コース」「薬学・医療系進学コース」「文理進学コース」を高校に設置。ラグビー部をはじめクラブ活動も盛ん。学校法人常翔学園として、常翔啓光学園中学・高校のほか、大阪工業大学、摂南大学、広島国際大学を擁する。472017 FEB. Vol.416

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