キャリアガイダンスVol.416
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 宮城県で第2の人口規模があり、東日本大震災で大きな被害を受けた石巻市。そのやや内陸部に位置する県立石巻北高校は、2010年度に河南高校(普通科・農業科)が改編されてできた総合学科の高校だ。15年度から同校の校長を務める瀬谷和夫先生は、前身校である河南高校の状況についてこう聞いているという。 「若者の農業離れで農業科は盛り上がらない。就職志望者が多い普通科は、地域の景気減退による就職難で思うような進路に進めない。そんな状況で生徒は目標をもちにくく、課題の多い学校だったようです」 90年代半ば、河南高校時代の教員はそんな状況を打開しようと、総合学科への改編構想を打ち出した。県内にも総合学科高校ができ始めた時期で、「生徒が興味・関心に合わせて学べる自由度の高い教育課程でなら、本校生徒の力をもっと伸ばせるのではないか」との期待があったという。しかし、県の財政面の問題もあり、実現までに要した年月は実に10年以上。ようやく10年度に総合学科高校として再出発を果たすことができた。 地元志向の生徒が多い同校が、総合学科改編時に掲げたスローガンの1つは「地域のスペシャリストを育成する」だ。昨年度まで同校に在籍し、改編にも関わった現・石巻支援学校教頭の山﨑賢一先生は学校再生のため悲願だった総合学科改編授業以外にも学びのステージを用意こう振り返る。 「地元に多様な産業があるので、選ばなければ生徒は何かしらの職に就けます。しかし、何でもいいではなく、目標をもって高校生活を送ってほしい。それまでも一部の教科で行っていた地域連携を学校ぐるみで充実させることで生徒のモチベーションを高め、地域で活躍できる人材を育てていこうと考えました」 「食農」「家庭」「経情」「教養」「進学」の5つの系列をもつ総合学科としてスタートをきってからも(図1)、教育方法の模索は続いた。そのなかで掲げるようになったのが「3つの学びのステージ」の充実だ(図2)。 「第1のステージ」とは、系列の学びを中心とした教育課程の授業を指す。学びの場を校内だけにとどめず、地域の企業、普通科・農業科を改編し、総合学科高校として生まれ変わった石巻北高校。授業外の活動も含めて総合学科の特長を生かした「3つの学びのステージ」を用意し、地域を巻き込む教育を展開してきた同校には、どのような生徒たちが育っているでしょうか。取材・文/藤崎雅子先進校に学ぶキャリア教育の実践総合学科の系列をつなぐ・こえた学びで「地域のスペシャリスト」を育成石巻北高校(宮城・県立)6次産業化 経営・販売実習 地域との交流 放課後活動 高大接続東日本大震災後の物資不足のなか、生徒は同校で採れた野菜をリヤカーに乗せ、市内仮設住宅周辺を巡回して販売した。校舎が津波被害に遭った宮城県水産高校が一時期、石巻北高校内に間借り。「交流水田」で合同の田植えや稲刈りを行った。482017 FEB. Vol.416

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