キャリアガイダンスVol.417
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 また、生徒の言語表現を育成する取り組みが「朝のコミュニケーションタイム(朝コミ)」だ。毎週水曜日の朝の10分間で、朝コミ委員会が設定したテーマについて3〜4人のグループで議論する。テーマは中学生らしい硬軟さまざまな内容だ。結論を出すことが目的ではなく、自分とは違う他者の多様な意見を聴き、考え、表現する力をつけることが目的だ。これはすべての教科のベースとなる力になっている。 生徒の学ぶ意欲を向上させるための取り組みのひとつが「海西版『知の技法』の活用」だ。「知の技法」は、9教科すべての教員たちが、自身の経験を基に、学びのコツや家庭学習のポイントをまとめた手引き書で、全生徒に配布し、授業や家庭で活用している。通学時間が長く、家庭学習の時間が十分にとれない生徒が多い同校は、まず学校での授業を充実させることが必至だ。冊子には「海西スタイル」という、各教科の授業に生徒がどう向き合うべきかが「授業前↓導入↓展開↓まとめ↓授業後」と指導案のように書かれている。 「サウザンド・プライズ基礎学力テスト」は、ごく基礎的な内容のテストを夏休み以外の毎月実施し、全11回の合校長(取材時)山中久司先生教頭鶴見徹也先生わかりやすく的確な言葉で全教員、生徒がビジョンを共有 山中先生が着任した当時、生徒指導は「パトロール」と呼ばれ、生徒を管理することに重きが置かれていたという。しかし、山中先生は信頼を示すことが大切と考え、「ウォーキング」と呼称を改め、生徒への向き合い方を変えたという。その結果、教員と生徒との距離感が縮まり、学校の雰囲気が一変したそうだ。同様に、コミュニケーションや取り組み一つひとつが絶妙なネーミングにより、学校全体でビジョンを共有しやすくすることにもつながっていたように感じる。生徒が多様だからこそ課題も多様。そのような中で、学校の目指すべき芯となるビジョンを、ぶれずに現場に伝えていくためには、わかりやすく心に響きやすい言葉選びも大切なのかもしれない。Editor'sVoice計で、1100点満点中1000点以上取ることが目標だ。 「簡単なテストで成功体験を積ませ、希望をもたせることで、勉強が苦手な生徒にも学びを諦めさせないことが目的です。教科だけでなく学びは一生つづきます。その意欲さえ失わなければ、多様な社会を生き抜く力になると考えています」(鶴見徹也教頭) 同校ではさらに、各学期末に成績表を渡した後、担任以外の各教科担当と面談ができる「学力向上カウンセリング」を行っている。その学期の成績に対し、「なぜこの評価だったのか」「レベルアップするために次にどうすればいいか」を教科の先生に直接生徒がアドバイスを受けられる。 「生徒たちに自分の成績に対するこだわりをもってほしくて始めました。それだけでなく、評価を言語化して生徒に伝えることで、教員たちのスキルアップにもつながっています」(山中校長) こうした一つひとつの取り組みが「タフな15歳」へとつながっていく。 2013年に山中校長が着任して以来、こうした取り組みを続けてきた結果、前述のキャリア教育優良校の受賞のみならず、学力・スポーツテストで市内トップの成績を残す文武両道の学校へと変貌していった。生徒たちの課題と向き合い課題にあった取り組み学ぶ意欲を高め継続させる全教員が関わる取り組み 「学校改革には3年はかかりますが、もともと多忙な教員たちに時間と手間をかけさせたわけではなく、ビジョンを共有して、小さなアイデアを積み重ねていった結果だと思います」(山中校長) 「行ってきた取り組みのいずれもが、本校の生徒たちにマッチしていたのだと思います。そうできたのは、多様な背景をもつ生徒たちの課題は何か、それを解決する取り組みとは何かを、校長や教務主任を中心として学校全体で考えてきたからです。生徒にあった取り組みができたことで、多様な生徒たちがそれぞれ力を発揮し、結果を残し始めているのだと感じています」(鶴見教頭)昨年度から作成し、生徒全員に配布。授業中に活用する他、生徒は家庭学習の際にこの冊子を参考に予習・復習してくる。コンクール当日は保護者も見学に来て、家庭では見せないキリッとしたわが子の表情に感動を受けているという。「ラーメンvsカレー」など身近なことでも、仲間の多様な考えに驚く生徒も多いという。毎学期の終業式の後、教科ごとにブースを設け、生徒が教員にアドバイスを求めにやってくる。朝コミ海西版「知の技法」学力向上カウンセリング 集団行動コンクール「多様性」で拓く生徒の未来【学校事例 01】多様な生徒が集まる中学校の場………水海道西中学校192017 MAY Vol.417

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