キャリアガイダンスVol.417
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 大阪府北部の中山間地域に位置する府立能勢高校は、全校生徒が150人強の小規模高校だ。通学の便の問題が大きく、8〜9割は能勢町内で育った子どもたちが学んでいる。 能勢町の中学3年生の数は現在、10年前のおよそ半数。今後の5年間でさらに半減する見込みだ。生徒数減少に合わせ、周辺では早々に閉鎖を余儀なくされた高校もある。同校の今後についてもさまざまな可能性が検討されたが、2018年度に府内屈指の進学校の分校、「豊中高校能勢キャンパス」となることが決定した。 生徒数減少に歯止めをかけることは難しかったが、同校は手をこまねいていたわけではない。学校が縮小する要因は、少子化という外的要因だけでなく、学校の魅力・活力不足という内面の問題もあるのではないかと考えた同校。この十数年間、地域ぐるみで学校の魅力化に取り組んできた。 「このままでは閉校になるのではないかという危機感もありました。それは何とか阻止しようという地域の方々の応援や卒業生の協力を受け、誰もが行きたくなる学校になることを目指し小中高連携で培った価値観・態度で地域貢献につながるグローバル課題に挑戦多様な年代/地域が連携する場て改革を推進しました」(教頭・内田千秋先生) 04年度、同校は従来の普通科・園芸科を総合学科に改編した。進学希望者に対応した「人文・理数」、グローバル社会をにらんだ「国際・情報」、福祉施設が多い地域性を反映させた「人間・環境」、これまでの伝統と施設を生かした「食・花・交流」の4系列を設置。生徒の多様な目標に対応できるようにした。 同時に、かねてより検討されてきた、能勢町立中学校2校との連携型中高一貫教育を導入。能勢町教育委員会と共に、「能勢の宝である子どもたちを学校・家庭・地域・行政が一体となって育てる」という理念のもと、「能勢を誇りに思う子・自信の持てる子・自分の道を自分で切り拓く子」の育成を目標に、小学校も含めた12年間を見通して地域の将来を担う人材育成を推進してきた。 小中高連携の土台となったのは、教職員の組織的な動きだ。4月の「小中高一貫教育総会」をはじめ、小中高全教職員が集合し、協議を行ったり、各校の教育成果を共有する会合を年数回実施。教科や生活指導、キャリア教育などのテーマごとにも定期的に集まり、情報・意見の交換を行う。各教科や総合的な学習の時間、キャリア教育について12年間を見通したシラバスを作成し、指導法の研究と研究授業などを推進してきた。 「私は数学の教員なので、例えば小学校で台形の面積の計算方法をどう教えたらよいかなどについて、一緒に考え話し合います。こうやって学んできて高校生になったのだということが改めてわかり、勉強になりました。授業での生徒の見方が変わりました」(教務部長・松本明美先生) ほか、高校教員による中学校での出前授業、高校の学びへの橋渡しとなる中学3年生対象の「土曜講習」を実施。同校プログラムの一部への中学生の参加などにより、中高の円滑な接続を図っている。 児童・生徒の交流も盛んだ。同校は広い農場設備を生かしてクリ、ブドウなどを栽培するほか、地域の小学生を対象に田植えやジャム作り体験を実施しており、高校生がその指導・サポートにあたる。毎年開催している「能勢町児童会・生徒会サミット」では、高校生徒会役員がリーダーシップをとって司会進行し、グループ討議や全体共有を行う。あいさつ運動や、朝食メニューコン取材・文/藤崎雅子高校の魅力化を目指し学科改編と中高一貫化校種間で情報・課題共有し一丸となって教育改善テストなど、共同の活動も多い。こうした年齢の異なる者が互いの状況を理解して協力する活動は、自尊感情や協調性、学習意欲などによい影響があるという。 「農場体験などで小中学生に教える立場になって、自分たちが勉強していることは専門性の高い価値のあることなのだと改めて気付くようです。もっとしっかり勉強しなくては、と気を引き締める機会にもなっています」(農場長・鹿嶋英滋先生)小中高連携児童会・生徒会サミットでは小中高全体で共通して取り組んでいけばよいことを議論。高校生は上手に小中学生の意見を引き出した。地域の小学生を農場に招き、栽培管理や食品加工、動物の飼育管理について、能勢高校生が説明、指導する。1954年設立/総合学科・連携型中高一貫校/生徒数154人(男子98人・女子56人)/進路状況(2017年3月実績)大学13人・短大3人・専門学校10人・就職19人・その他4人 ★平成27年度スーパーグローバルハイスクール ★ユネスコスクール学校データ222017 MAY Vol.417

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