キャリアガイダンスVol.417
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 同校はさらに魅力的な学校になるため、地域の後押しを受けて、15年度からスーパーグローバルハイスクール(SGH)として、グローバル教育にも取り組んでいる。念頭にあったのはやはり「地域を支える人材」だ。 「本校SGHで育成したいのは、国際社会で活躍する人材とともに、グローバル感覚をもって地域の活性化に貢献する人材。国際的な課題解決の事例や視点を知ることが、地域の課題解決につながると考えています」(内田教頭) 科目選択者によるモンゴルやマレーシアでの実態調査や課題研究のほか、「産社」「総学」などを活用して全生徒を対象に「スーパーグローバル基礎知識講座」を実施。町内在住の元青年海外協力隊員や地域伝統の炭焼き師など地域の人も外部講師とし、フェアトレードや人種問題など国際問題から海外の地域おこし事例まで、多彩なテーマを学んでいる。 こうしてグローバルな課題に取り組むなか、生徒は大きく変容しているという。SGH課題研究成果発表会では、校長向井幸一先生教頭内田千秋先生教務部長松本明美先生農場長鹿嶋英滋先生少子化の厳しい環境を逆手に豊かな学習環境を整備SGHの講座別 生徒の感想コメント 少子化による生徒減の課題を抱える高校は全国に数多い。そのようななかで厳しい環境を逆手にとり「地域」を軸に学校改革を推進してきた同校の事例に、勇気をもらう学校も少なくないのではないだろうか。 中高連携や地域連携といった縦の多様さに加え、地域から飛び出したグローバルという広いフィールドでの多様さにより、「違い」を恐れず受け入れることの価値や、協働で課題を解決していく方法を学んだ同校生徒。そして今、新たに同年代の横の多様さが加わろうとしている。これからの化学変化が楽しみでもある。■テーマ:世界の貧困と児童労働「自分にできることは何もないと思っていたが、あった」「行動を起こすことが大事だと思った」■テーマ:地域を元気にするってどんなこと?(ドイツの村の事例より)「この先、能勢町を生かすために何ができるか考え、実行していきたいと思った」「小さな村でも多くのことを成し遂げられるのだなと思った」■テーマ:アメリカの人種問題と人権「異文化でのコミュニケーションは難しいと感じた。が、これからはそのコミュニケーション力が必要だと思った」「相手の文化と考え方を尊重するのは大切だと思った」■テーマ:グローバル化とローカリゼーション「地元のことでも知らないことがたくさんあった。今後もっと意識していきたい」「地域を盛り上げるためには、ほかの地域、ほかの国のことも知らないといけないと気付いた」Editor'sVoice生徒に向けて地域の大人が本気で難しい質問をぶつけてくるが、生徒は自分たちなりの回答を返す力と自信を身に付けていた。「地域創生に取り組みたい」など明確な意思をもった大学進学者も増えた。 「ある生徒は、人前に出ると泣き出しそうなぐらい気弱でしたが、数カ月間のSGHの活動で吹っ切れたのか、年度末には生き生きと発表していました。自分を変えるほどのインパクトのある経験ができたからでしょう」(松本先生) こうした生徒の飛躍の背景には、地域連携によって培ってきたベースがあるからこそだと、同校は考える。 「本校には学力や学びの方向性が多様な生徒が集まります。さらに、同年代だけの学校という枠を超え、日常的に多様な年代の人と協力し合うなか、『違い』で区別するのではなく、受け入れ協力し合ってきました。そのなかで自らの価値観を築き、相手を理解しようという姿勢を身に付けています」(松本先生) 「だからこそ、フィールドが世界に広がっても異文化を受け入れ、そこから多くを学ぶことができたわけです」(内田教頭) 18年度から同校の「本校」となる豊中高校は、SGH校という共通点をもグローバル教育による飛躍のベースは地域で培われた特色を保ちつつ分校として新たな連携へスーパーグローバルハイスクール(SGH)つ進学校だ。学校行事実施時や夏期休業期間を活用した交流のほか、IT技術による遠隔合同授業ができる環境整備も検討されている。分校となっても、「小中高連携の取り組みはこれまで同様に継続、発展させていく」と内田教頭。校長の向井幸一先生は、同校の多様性をさらに一歩進めたいと考える。 「能勢高校は縦の多様な人間関係に恵まれている一方で、狭い地域から集まる分、同質性は高いといえます。それは生徒にとっては心地よい環境ですが、もう少し不快や不満があってもいいかもしれない。それを自ら動いて改善する強さも育てていきたいと考えています」 豊中高校との新たな関係性を築き、同校はさらなる魅力化を図っていく。マレーシア研修でマングローブ保護林や木炭工場を訪問(写真上)/フェアトレードをテーマにしたワークショップ(同右下)/来日したマレーシア高校生と人形浄瑠璃を通じて交流(同左下)「多様性」で拓く生徒の未来【学校事例 03】多様な年代/地域が連携する場………能勢高校232017 MAY Vol.417

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