キャリアガイダンスVol.417
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 現在のプロジェクトでは、AL型授業実践と生徒同士の対話の場となる合同セミナーは年1回開催とした。回数は減ったがその分、各校でPTを組織し、事前に先進校視察や校内研修会など準備の時間を十分にとれるようになった。合同セミナーは習熟度別に、従来の8校を「探究基礎グループ」、新設の6校を「探究発展グループ」の2グループに分けて実施。それぞれ、県外から講師を招いた講演、他校の生徒同士によるディスカッションや授業の実践を行っている。ディスカッションでは「学校横断で学園祭をやるとしたら」など、生徒に身近で協働的なテーマについて50分間語り合う。 合同セミナーに参加した生徒、教員の感想は次ページに記したように、予想以上の効果を上げている。参加した各授業について生徒に対して行ったアンケートでも、「モ 中学卒業生のほぼすべてが高校に進学する一方で、社会の急激な変化によって卒業後の進路がますます多様になっていくと予想される高校の現場。そのなかで石川県教育委員会は、これまでの教員個々の力による指導には限界があると考えていた。また、地形が縦長の同県では、県北部や南部の生徒たちが他校の生徒の様子を知る機会が少なく、狭い世界でしか自分の位置づけを知ることができなかった。 こうした課題に対し県教委では、生徒の思考力・判断力・表現力および、主体性をもって多様な人々と協働する力を育成することを目的とし、2015年3月に「石川県高等学校『学びの力』アクションプラン」を策定。そのなかで、複数校の交流の場を設けて、生徒には幅広い刺激を受ける機会を、教員には学校や教科を越えた教育力の向上を目指した取り組みをスタートさせた。 そのひとつが県内の大学進学者の多い学校14校を対象とした「いしかわ探究スキル育成プロジェクト」だ。 「このプロジェクトの前身として、2012年度から県下8校による『高等学複数校の生徒が混ざり、切磋琢磨することで視野を広げて自分の生き方を見出していく多様な学校間連携で協働する場校連携による教育力推進事業』を実施していました。各校から英語、数学、国語、理科の各教員1名ずつが集まり教科別のプロジェクトチーム(以下PT)を組織し、PTごとに教材や指導方法を議論し、8月と12月の年2回、対象校から各20名前後の生徒を集め、合同セミナーで授業を行いました。各校の生徒を混ぜ合わせたクラス編成のため、実施する教員と生徒たちがお互いほぼ初対面という状況でした」(梅本浩照氏) この事業のキーワードは「切磋琢磨」。その意図通り、よい刺激を受けた生徒は学習意欲が高まり、教員は授業の視野が幅広くなっていったことから、さらに学校の数を増やし2015年から現在のプロジェクトへと進化させた。 「以前は、思考力を兼ね備えた受験スキルのアップに重点が置かれていましたが、現在は『探究力』により重点を置き、アクティブラーニング(以下AL)を取り入れた探究型授業スキルの向上を目指しています。また、本県では『いしかわニュースーパーハイスクール(以下NSH)』に5校を指定し、探究的な学びの充実を図っています。現在のプロジェクトには、従来からの8校に、NSH5校と、併設型中高一貫校1校の6校をプラスし、14校で実施しています」(樋口勝浩氏)取材・文/長島佳子初対面の生徒同士で探究的な授業を受ける視野が広がり視点が上がりひと皮剥けていく生徒たちチベーションが高まったか」「深く考えたり意見を述べたりできたか」という質問に、いずれの授業でも9割以上の生徒が肯定的な回答をしていた。 「初対面の他校の生徒の前でちゃんと意見を言えて自分で驚いたという生徒もいます。日頃の授業でもプレゼンやAL型授業を受けているので、環境が変わっても自分に求められることに気付くようで、それが自信にもつながります」(梅本氏) 「同じ学年で習熟度が近い他校の生合同セミナーには約120名の生徒が参加。集まった当初は緊張している生徒も少なくない。生徒の論理的思考力の育成につなげる授業づくりのために、セミナーに先駆けて教員の合同研修を行っている。初対面同士でもお互いに活発に意見を出し合う生徒たち。いしかわ探究スキル育成プロジェクト「合同セミナー」実施される合同セミナーは、県外からの講師による講演、生徒同士のディスカッション、模擬授業の3部構成で実施。生徒はそれぞれ2コマの授業を受ける。242017 MAY Vol.417

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