キャリアガイダンスVol.417
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徒たちが、自分より高い視点をもつ姿を見てショックを受ける生徒もいますが、自信を失うことにも価値があります。それに気付けば自分もがんばろうという意欲になるからです。他校の多様な生徒との関わりで、自身の興味や事務局 学校指導課高等学校教育担当課参事北島公之氏学校単位や教員単位でも可能な取り組みのヒントがある課題研究合同発表会県教委が今年制作した、県内の基幹産業の経営者にインタビューした映像集『I Will』。 学校間連携という同世代での横の連携に加え、石川県教委では県内で活躍するさまざまな社会人の生き様のインタビューをまとめたDVDを作成、県内の全校に配布している。これは「地域で生きる人や、時代のニーズを把握」することで、生徒が学校間を超えた多様な価値観に触れることを目的としている。しかし、このような複数校での学校間連携や、多数の社会人インタビューなどは、実際に学校単位で行うことは難しいことかもしれない。そこで、まずは近隣の1校との連携や、教員・保護者の人脈での社会人講演など、できるところから同様なタテヨコを意識した多様性の取り組みが行えるとよいのではないだろうか。【生徒(他校の発表を見て)】●共感しやすい題材で、分析方法もユニークだった。●プレゼンの資料の完成度が高い。●細かい数字までちゃんと調べてあり、データの裏付けがしっかりしている。●これまで考えなかった視点から農業問題に取り組んでいる。●課題とその解決策が具体的に述べられているなど、提案に対する結論が明確である。【教員】●テーマの選び方や探究の方法に各校の違いが表れていて興味深かった。●仮説→調査→検証→結論といった流れが、生徒に定着しているのがわかった。●質疑応答も批判的思考を働かせたものが多く感心した。こうした力は従来の教授法では身に付かない。生徒主体の探究活動によって得られるものの大きさを実感できた。Editor'sVoice関心が広がり、進路選択で志望を妥協しないなど、より高みを目指す生徒が増えています」(北島公之氏) 同県が行っているもうひとつの複数校交流に、NSH5校の「課題研究合同発表会」がある。NSHのうちの3校はSSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定校のため、従来からSSH研究発表会を3校合同で実施していた。大勢の人の前でプレゼンしたり、他校生課題研究の発表会を複数校合同で行う段階を踏みながら自分のあり方が見えてくる課題研究合同発表会とのコミュニケーション体験により生徒が著しく成長したことから、文系のテーマでも同様の機会を与えようと始めた取り組みだ。発表会当日は、5校から集まった180名の生徒の前でグループ代表者による発表会と、個別のポスターセッションを行っている。 「生徒にとってはさまざまな人からアドバイスをもらえることで、課題研究の質を高める機会になっています。教員にとっても、課題研究のあり方を学んだり見直すきっかけになるので、この取り組みを今後も定着させていきたい」(樋口氏) 複数校をまとめて交流の場をつくることは、県教委としても簡単な取り組みではない。しかし教育における多様性として必要なことだと北島氏は語る。 「教育における多様性とは、第1段階で人と自分の違いを理解し価値を認め、第2段階でまわりの人や時代のニーズを把握し、第3段階で自分のあり第1部ではグループ代表者が全員の前で研究内容を発表。第2部はポスターセッション。参観者からの質問にも堂々と答える生徒たち。事務局 学校指導課高等学校教育担当課長補佐(取材時)梅本浩照氏事務局 学校指導課高等学校教育担当課長補佐樋口勝浩氏合同セミナー【生徒】●みんなで話し合ったり、一緒に考えることで理解が深まり楽しかった。●誰かに何かを話し、考えを共有し、深く学び合うことの素晴らしさにびっくり。●どんなに難しい問題でも協力すればできる。あきらめずに考えることが大切。●他校の生徒と一緒に授業を受けることで、他校とのレベルの差を痛感した。よりいっそう勉強しなければという気になった。●自分で考える力の他にも相手に伝える力が必要だとわかった。伝える力をもっと磨いていかねばならないと思った。●数学で、ひとつの問題でもみな解き方がさまざまで、いろいろなやり方で理解していくのがとても楽しかった。【教員】●見知らぬ人と共に受ける授業は生徒にとってよい経験となっている。●奥能登の生徒にとっては、多くの同期の生徒と関われる貴重な機会で、継続してほしい。方や生き方を考えていくことだと思います。単に多様な状態というのは、ともすれば異なる人々が勝手気ままに振る舞うことになりかねませんが、教育においては、この3ステップを踏む中で、まわりの人と切磋琢磨しながら、自分を高めていくことが求められています。それを実現するために、複数の学校の生徒が集まることでより多様な場をつくり、探究し学び合う本県の取り組みは、他県にはない誇れるものだと思っています」(北島氏) 複数校が混ざり合うことで化学反応が起きている石川県。次はどんな施策が繰り広げられるか楽しみだ。参加者の声参加者の声「多様性」で拓く生徒の未来【学校事例 04】多様な学校間連携で協働する場………石川県教育委員会252017 MAY Vol.417

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