キャリアガイダンスVol.417
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積があります。また、本校からは毎年10〜20名が海外の大学に進学しますが、その際にもAO入試のノウハウが生きています。このような進路の多様性が本校の多様性にもつながっているのです」(荻野校長) 多様な生徒を多様な進路へと導く進路指導にも同校は力を入れ、個別指導を積極的に行っている。帰国生や外国生の中には、日本語がおぼつかなかったり、海外で差別を受けた経験から、自分に対してネガティブに捉えている生徒もいるという。彼らが生きてきた経験を、クリティカルな思考で掘り下げさせ、ネガティブなことからポジティブなことに転換させる指導も行っている。自分と丁寧に向き合えば、彼らがマイナスと思っていた経験の中にも、他の人にはない経験や、これからの人生に役立つものを見つけられるはずだ。 「その過程で、主体的に自分が果たすべき役割は何かが見えてきて、それが大学での学びにつながっていきます」(岩﨑先生) 「多様な生徒の一人ひとりの良さを、本人がポジティブに認識し、他者からも良い面の評価を受けられるよう指導していくのが、本校の教員の役割です」(荻野校長) 同校はこれまで以上に世界で活躍校長荻野 勉先生副校長鈴木真人先生進路部主幹岩﨑昇一先生人と違うことを強みに転換する進路指導が自己肯定感を育む海外大学受験が必須のIB生は、多くの課題に取り組みながら研究者としての素地を学んでいく。学校全体をIBワールドスクールとして意識させるために、生徒が作ったポスター。同校では廊下に机を出して、担任が生徒一人ひとりに個別指導する風景が日常的だ。 帰国生や外国生たちは、一般の生徒たちよりも堂々としているイメージがあり、同校に至っては、難関大学に進学していく生徒も多く、自己肯定感が高いだろうと予想していた。しかし、今回の取材で、彼らがマイノリティ経験から、ネガティブに自分を捉えることもあることを知った。そのネガティブをポジティブへと導く進路指導は、どんな学校にも共通して必要なものではないかと思う。一般の高校でも生徒たちは、家庭環境や習熟度などさまざまな意味での多様性をもち、少しの他人との違いで自分を否定的に捉えることもある。違いの素晴らしさ、自分にしかない経験を掘り下げることで、自己を肯定し、多様性に対しても主体的に関われるようになるのかもしれない。 Editor'sVoiceする生徒を育成していくために、2015年に、国内の公立高校として初めての、国際バカロレア・ディプロマ・プログラムの認定を受け、IBコースを開設した。IBコースは授業も教室も異なるが、他の生徒と同じクラスに所属し、1日10分のホームルームを一緒に受けている。 「たった10分でも、IBのクラスメイトがいることで新たな化学反応が起こることを期待しています。また、IB認定による『IBワールドスクール』の称号は、IBクラスだけのものではなく、学校全体に与えられたものです。『IBラーナー・プロファイル』には探究する人、挑戦する人など、育てる生徒像、なるべき教員像が示されており、それは本校全体で目指すべき姿です」(荻野校長) その意識を高めるため、IBの理念一人ひとりが自分の価値を見出す進路指導IBコースのノウハウを一般コースの授業にも導入IB導入による多様性のひろがりを生徒がポスターとして作成し、月替わりで校内に掲示している。また、IBの批評型、探究型の授業では、正解がない問いに対して、ロジカルに自分の考えを構築し、人に伝える訓練となるものが多い。 「IBには従来の日本の教育に足りない部分を補うものがあります。その手法を一般コースの授業に取り入れることで、授業にも多様性を生み出せると考え、2017年度から実施していく予定です」(荻野校長) IBコース導入により、多様性を活かした同校の取り組みがさらに加速し、今までにない公立高校の姿を見せてくれそうだ。多様な進路へ導く取り組み●探究する人●知識のある人●考える人●コミュニケーションができる人●信念をもつ人「IB learner profile(IBの学習者像)」は、「IBの使命」を具体化したもので、「国際的な視野をもつとはどういうことか」という問いに対するIBの答えの中核を担っている。具体的には、IB認定校が価値を置く人間性を、以下10の人物像として表しており、都立国際高校でもこのポスターを掲示し、学校全体の目標としている。●心を開く人●思いやりのある人●挑戦する人●バランスのとれた人●振り返りができる人●探究する人「多様性」で拓く生徒の未来【学校事例 07】多様な国籍/文化が混ざる場………都立国際高校312017 MAY Vol.417

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