キャリアガイダンスVol.417
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誰もが楽しく生きるために教育がいま変わるとき多様な価値観を認め合い、新たな価値を創造する若者を育てるために、教育現場でできることは何か。東京大学公共政策大学院および慶應義塾大学教授を兼任し、文部科学大臣補佐官としての重責を担う鈴木 寛氏に、高校の先生方へ向けたメッセージをうかがいました。 卒業後、生徒が生きていく社会は、よくも悪くも多様性に満ちています。自動車や家電に代表される製造業の中には、従業員の過半数がノンジャパニーズという企業も珍しくありません。農業現場や建設現場も海外からの研修生に支えられています。日本人中心の職場など少数派に。その最たるものが、日本国籍もしくは日本語だけで仕事が成り立つ議会や役所、マスメディア、そして学校です。 昨年、倉敷市で開催されたG7教育大臣会合でも認識が共有されていましたが、幼児教育、初等中等教育、高等教育のすべてを同一国で受ける人の割合が減っているとのこと。事実、東京大学大学院の約23%は外国人留学生であり、日本の企業が好んで採用するのも外国人留学生です。 こうした多文化社会を生きるには、どのような資質が必要でしょうか。文部科学副大臣時代、グローバル人材育成推進会議の幹事会座長として「グローバル人材」とは何かについて議論を重ねました。「多文化社会を生きる人材」と言い換えても同じですが、もちろん、英語を話せるだけの人材のことではありません。私は、「日本語以外の言語で喧嘩ができて、仲直りもできる。真の友人をつくれる人材」だと捉えています。 多文化社会においては、往々にして意見のぶつかりあいが生じます。バックグラウンドや価値観の差があまりに大きく、喧嘩に発展することもしばしば。それでも、一緒に生きていかなければいけない以上、「どうすればうまくやれるのか」と、前向きに捉えなくてはいけません。そこからが本当の対話。矛盾や葛藤を乗り越えるからこそ真の理解につながります。 日本人はどちらかというと、それが苦手です。感情を抑え、我慢し取材・文/堀水潤一 撮影/平山 諭鈴木 寛文部科学大臣補佐官喧嘩ができ仲直りもできる真の友人をつくれる人材にすずき・かん●1964年生まれ。東京大学法学部卒業後、通商産業省入省。在任中から大学生などを集めた私塾「すずかんゼミ」を主宰。2014年東京大学教授、慶應義塾大学教授に同時就任。15年2月より文部科学大臣補佐官を務める。322017 MAY Vol.417

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