キャリアガイダンスVol.417
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422017 MAY Vol.417 ガイダンスカウンセラーの木村さんもおっしゃっていますが、「何でだろうね?」などの問題解決を急ぐような問いかけは、会話の流れを分断してしまっています。生徒の「……」を理解し、「何でだろうと聞かれても、すぐにはわからないよね」と、質問が不適切だったことを認め、「不安なことがあったら、先生聴くから話にきて」と、今後も援助していく姿勢があることを伝えていくといいでしょう。 そのうえで、教室全体を「安心・安全の場」にしていく。そのため、LHRの際にグループ活動などを行い、学級全体にさりげなくアプローチをかけていくことをお勧めします。グループアプローチが苦手な先生なら、行事を活かしていってもいいでしょう。 高校1年の最初の時期は特に、広い学区から生徒が集まってきて、最初の友達づくりがどうなるか、生徒みんなが大きな不安と期待を抱いてきて このまま突っ込んで聞いていくと、実は時間をかければそれなりに解決する問題を、かえって「深刻な人間関係」の図式にしてしまう危険性があるので、この面談はいったん打ち切り、近いうちにもう一度面談します。それまでに、掃除の時間など生徒の動きが自由な時間帯に、その生徒の様子をつぶさに観察し、人間関係の微妙な機微を察します。 クラスメイトと一定距離を置いて付き合いたいタイプの生徒もいますし、早くクラスになじみたいと焦る生徒もいます。その生徒が置かれている状況とタイプをしっかり見極めたうえで対策を講じます。LHRの時間にアイスブレイクやクラスづくりのプログラムを行うことが有効なのか、アクティブラーニングのグループワークのグループ編成に工夫を凝らすべきなのか、あるいは…。とにかく、性急に短絡的解決(「○○君、彼に声をかけてやってくれよ」等)を目指さないことが肝心だと思います。います。そこで、まずは原因を追究する前に、もっと基本的な人間関係づくりをしていくことが大切です。 また、教育学的見地から言えば、新学期の最初は、教師と生徒の1対1の信頼関係をしっかりつくることが先決です。そのため、4月は教師主導でさまざまなグループ活動を実施し、生徒の不安を軽減し、「この先生は、自分のことをしっかり見てくれている」という安心感につなげていきます。そして2〜3カ月かけてクラス全体の信頼関係につなげていけばいいのです。とはいえ、「このような問題は時間が解決する」と待ちの姿勢をとる先生も時々いらっしゃいますが、それはダメです。先手を打って、早い段階にクラスづくりをしていけば、後々得られることもたくさんあります。 まずは、先生自身が、どのようなクラスにしていきたいのか、目指すべきク 実際、担当したクラスでも同様の相談がありました。いずれも進路変更(退学)まで考えていたケースです。 その際、私の観察や本人の話、周囲の生徒の話を聞いてみると、周囲から嫌われているということはなく、何となくできたグループに入りそびれてしまい今更…といった感じでした。本人も周囲も「話しかけてくれれば」と言っていましたし、「話す」行為そのものが嫌というわけではなかったようなので、授業形態を抜本的に改善し、対話中心の授業に。ただ、肝心なのはいたずらに話し合いばかり増やしても、そこが「安心・安全の場」でなければ、話せない生徒には苦痛でしかありません。そこで、どんな発言も否定せず「なるほど」といったん受け止めることを徹底しました。 授業外でも、対話の中で助け舟を出していたり声かけをしてくれた生徒に、「あの発言はとても良かった」「○○さんはあまり反応できなかったみたいだけど、話しかけてくれて嬉しかったと言っていたよ」などを伝え、私はこうする!こうした!実際に、読者の先生方がどうされたか・どうされようとするかをお伺いしました。教育カウンセリング心理学の専門家の視点から、ケース対応の極意をアドバイスいただきました。会津大学 文化研究センター上級准教授 苅間澤勇人先生かりまざわ・はやと●1986年、岩手大学工学部卒業後、岩手県立公立高校教諭に。早稲田大学大学院教育学研究科後期博士課程単位修得退学。教育学、教育カウンセリング心理学を専門とする。2015年4月より現職。まずは、教師と生徒の1対1の関係づくりから問題解決を急がずクラス全体に働きかける様子をしっかり見極め、再度面談滋賀県・草津東高校・堀浩司先生授業で「安心・安全の場」を徹底山形県・米沢工業高校定時制・髙橋英路先生

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