キャリアガイダンスVol.417
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やりきって出しきる体験を繰り返して、世界で通用するグローバル教養人を育てる名城政一郎沖縄尚学高校 副校長まとめ/長島佳子 撮影/金城 瞳1983年沖縄高校から沖縄尚学高校へ改名、「たくましい進学校」を目指し開校。1986年附属中学開校。1988年沖縄県から戦後初(国費特別留学生を除く)の現役東大合格者を輩出。沖縄県で初の選抜高校野球大会優勝をはじめ、柔道、長刀、テニス、英語スピーチ、珠算で全国制覇。2013年日本の高校初の国際バカロレア日本語DPプログラムに認定。沖縄尚学高校(沖縄・私立)なしろ・まさいちろう1958年生まれ。明治大学経営学部卒、同大学院経済学修士課程修了。大学時の恩師、ゼミ仲間、経済学との出会いにより、「思考力を限界まで働かせる習慣」と、「自分の言葉」を得た。研究者を目指して留学する予定だったが、沖縄尚学高校を開校した理事長・校長の父を補佐すべく、沖縄に戻る。1985年、同校で東大を始めとする難関大学受験指導。1991年同校副理事長・副校長就任。2004年渡米、セント・ジョンズ大学客員講師(日本近現代史)を務めるかたわら、セント・メアリーズ大学教育専門職大学院で学ぶ。2009年同大学院博士(教育)取得後帰国。習得目標を明示した授業の導入や、空手の全生徒必修化など、グローバル社会を見据えたユニークな取り組みを行う。2011年沖縄尚学高校附属中学校長、沖縄大学客員教授に就任。2014年~2016年沖縄県私立中学高等学校協会会長。 急激なグローバル化で、国籍や価値観の違う人々と新しいルールを作ることが求められたり、ITやAIなどのテクノロジーの進歩が今までにない職種や業種を生みだす現代。生徒たちを待ち受けているのは「未知との遭遇」です。 教育の究極の目標は、生徒たちが自分の得意分野を活かして幸せになり(自己実現)、自分が生きていく過程でまわりも幸せにできる人になること(社会貢献)です。生徒たちがこの先、どこで、どんな職業についても自己実現と社会貢献を達成できる、普遍的な資質とは何か。私は「どうにかする力」と「信頼される力」を発揮できることと、世界中どこでも大人として通用する「グローバル・シティズン」としての資質を身に付けることと定義しました。そして、これらを身に付けた「強くてやさしい文武両道のグローバル教養人」の育成を目指し、すべての教育活動はこうした資質を育めるよう公式化しシステムを作りました。 そのひとつとして、「習得目標型授業」「英検」「沖縄伝統空手道」「ボランティア活動」「異文化交流活動」の5つを必修にしました。これらが「グローバル教養人」の素養の育成につながり、必修とすることで、本校の生徒には空気のように「当たり前」になるからです。 空手は体育の要素だけでなく、日本が世界に誇れる「文化力」をもっています。文化は一度国境を越えて人々に受け入れられると、評価はそうそう変わりません。私自身が米国滞在中に、空手の文化力を現地の人々から教えられて実感したことがきっかけとなり、目から鱗が落ちた想いで本校の必修としました。 どの教育活動の場面でも、「やりきって、出しきる」ことを重視しています。基礎をやりきったとき、本物の自信がもてるようになり、それを緊張を強いられる勝負の場で出しきる体験を積むことで「どうにかする力」が高められるからです。英検や空手、部活動ではかなり達成できていますが、勉強ではまだまだのびしろがある。教員側の課題でもありますが、習得目標型授業での目標を、生徒の思考力を高めるものに質を高めていかねばなりません。そのために、AL型授業の導入など教員たちも私自身も勉強中です。 現在は「グローバル進学校」を目指し、取り組みを始めました。日本の優秀な生徒が海外に留学するように、海外から優秀な生徒が集まる学校にしたい。そのためには、ここでしか学べないグローバルスタンダードとなるもの、世界中の大学に進学できる資格取得が必要です。前者は当校には空手があり、後者では国際バカロレア日本語DPプログラムの認定を受けました。今後は、日本語・英語のどちらでも受けられる授業を増やし、ローカルからグローバルまで、生徒たちが所属するすべての階層で帰属意識を育める教育プログラムを、さらに充実させていくつもりです。世界のどこでも、どんな職業でも必要とされる普遍的な資質を育成海外から選ばれ、生徒が集まる、「グローバル進学校」を目指して452017 MAY Vol.417

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