キャリアガイダンスVol.417
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ふじおか・しんじ●1975年生まれ 慶應義塾大学大学院修了。数学や生物の大学受験対策を教える塾講師を経て、大学院でキャリア教育の重要性に気付き、研究を開始。小学生から社会人までを対象とした現場指導経験を有し、推薦・AO入試対策、社会人基礎力の指導や教材・プログラム開発を大手大学受験予備校や高校・大学で行う。島根県立隠岐島前高校をはじめとし、行政と協業し教育を通じた地方創生に取り組み、現在、北海道から沖縄までの高校魅力化プロジェクトに参画、高校連携型の公営塾を運営。藤岡慎二北陸大学教授株式会社Prima pinguino代表取締役ないために学問と結びつかず学部や学科が選べないことがあります。 例えば、畜産業の衰退をテーマに挙げていた生徒がいたとします。一見、畜産学部に進学すると良さそうです。しかし、畜産業の衰退の原因が後継者不足にあるとしたらどうでしょう。後継者不足の理由を更に深く掘り下げると、稼げない(農協と交渉できず餌のコストが高い割には、ブランディングできておらず利益が少ない)ことや、3K(きつい、汚い、危険)を凌駕するやりがいを感じられないからかもしれません。 すると、稼げないことに関しては価格交渉やブランディングですから、経営学の範疇になります。また、ICTを駆使して、人間が探さなくても牛の居場所が突き止められたり、生産者と消費者がこまめにネットを通じて消費者の声やニーズを知ることができれば、餌の配合を変えて肉の味を調整する畜産家ならではの〝やりがい〞が生まれます。これをスマートファーム(IT化で効率化された牧場)というようですが、これは情報工学の範疇です。 もちろん、畜産のことも勉強しなければいけません。畜産の後継者問題を畜産のみならず、経営学、情報工学などからもアプローチできます図表1 研究とは何かし、総合的・学際的にもアプローチできます。となると「経営学部、情報工学部、もしくは総合科学部で学べそうだ」という答えが見えてきます。テーマを突き詰めることで、どの学問で、そしてどの学部・学科で学べるかがわかるのです。 経営学と経済学の違いをご存じですか。歴史学と考古学の違いはどこで、それぞれはどのようなテーマを扱うのか、ご存じでしょうか。生徒や保護者に50以上あると言われている学問分野をすべて理解している方はなかなかいないでしょう。無理もありません、高校の先生や大学の教授でも網羅的に知っている人はいないと思います。学問に関する理解がなければ、テーマがあり、テーマを深掘りし課題を焦点化しても、どの学問が良いか、学部・学科が選べないのは当然です。 しかし、ここまで紹介してきたように①大学の学びを理解する ②学びたいテーマを突き詰めるところまでくれば、キーワードを手掛かりに興味がある大学の教授のシラバスや研究会・ゼミの紹介文などを読んでそこから学部・学科を選んでいくことができます。 そして、どの大学の先生が生徒のやりたいことに合っているのか、親和性があるかは、志望理由書と教授・ゼミの研究内容を見比べることなどでわかります。大学選びに関しては、次号以降で詳しく説明していくことにします。 以上、生徒自身の志望学部・学科や大学がみつからない、固まらない、定まらない、の”3ない“でお困りの場合の指導について考えてきました。また次回!そもそも学問についての理解がない学部・学科選びが難しい理由3既知の領域未知の領域研究とは、知のフロンティアを開拓して広げること。研究のスタート段階では、どこがフロンティアかはまだ見えていない。先行研究を知ることで、フロンティアに至る。フロンティア以外のところでがんばっても、研究としての意味はない。知のフロンティア492017 MAY Vol.417

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