キャリアガイダンスVol.417
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基礎力を徹底的に身に付けさらにAL型授業で変化に対応できる力を磨いていくアクティブラーニングまとめ/長島佳子 撮影/舘野季子1971年学校法人佐藤栄学園設立。1978年埼玉栄東高等学校が男子校として開校。1992年栄東高等学校に改名、栄東中学校を開校。1994年高校男女共学開始。2004年より東大クラスを設置、2016年には東大合格者数が埼玉の高校トップの27名を輩出。中学入試の志願者数は4年連続で1万人超えを果たし、全国トップの人気校となっている。栄東高校(埼玉・私立)たなか・じゅんこ1940年生まれ。同志社大学文学部英文科卒業。京都の公立高校で教員をスタート。教科は英語、体育。その後、通訳案内士の資格を取得2008年より栄東中学・高校の校長に就任。現在も英語科教員。常に改革を意識して、新しい挑戦に次々に取り組む。2004年に設置した「東大クラス」は、東大進学者がゼロのときに校長から提案。7年前まで定員割れしていた中学を全国トップの人気校に、高校を県内きっての進学校に育て上げた。 本校では10数年前から、リベラルアーツと称してAL型授業を導入してきました。2020年の入試改革以前に、大学入試の中身が変わってきていることを当時から感じ始めていたからです。例えば、東大の理系の入試で、化学に関する長いリード文を読ませて自分の考えを書かせるなどです。これらは受験科目の勉強だけでは到底できるものではありません。しかし、社会に出れば同様に、答えのない問いと向き合う力が求められます。本校では、基礎力の徹底とともに、教科を横断、学年を縦断し、多角的な思考力を育むための授業を考え、実践してきました。 例えば、英語の教科書の題材で、他国の文化に関する内容が書かれている場合、文法の基礎を徹底的に教え込んだ後に、内容について考える授業をします。生徒たちは図書館やネットで他国について調べ、さまざまな疑問が湧いてきます。その際に、社会科、理科など他教科の教員に参加してもらい、生徒の興味・関心に英語で応えていくのです。 こうした活動を踏まえ、5・6年前からはALを、「教科」「行事」「部活動」「キャリア教育」の4つの柱のいずれでも取り組むこととし、実践しています。 AL型授業が浸透しているため、日頃の授業で生徒たちから質問や本質的な問いが自然に出て、それを仲間と一緒に調べる習慣がついています。教員たちも生徒の質問に答えられるよう、常に勉強したり、教材研究をしていなければなりません。生徒たちの高度な質問に、教員側が驚かされることも少なくありません。生徒たちが興味・関心をもった「点」を、他の生徒や教員の知識や経験とつなぎ合わせて「線」や「面」、立体的なものにしていく、つまり、知識を知恵に変えていく。その支援が教育だと思っています。 ひとりでは解決できないことも、仲間や先生となら複眼的に見方がひろがり答えに近づける。そこで、自分の言葉で自分の考えを表現できる対人能力や表現力、決断力が身に付いていきます。 変化の激しい時代ですから、現状に満足せずに学校を変革していく必要があります。思いつくとすぐ先生方に相談します。私の思いつきを論理的に考え、組織化して実行するのは先生方です。それは大変だと思いますが、10個のうち1つでも形にしてくれればいい。次世代のリーダーを育成していく義務もあると考えます。 生徒の学びは基礎とALの両輪が、組織はリーダーとフォロワーの両輪が整ってこそ、質の高い教育ができるのです。2020年の入試改革で何が求められているか、世の中に出たとき生徒たちがどう活躍するか、その原点を本校で見つけてもらえればと願っています。難関大学の入試変革をいち早くとらえ10数年前からAL型授業に取り組む知識を知恵に変える支援が教育未来の原点を高校で見つけてほしい田中淳子栄東高校 校長512017 MAY Vol.417

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