キャリアガイダンスVol.417
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 大阪府教育センター附属高校は、大阪府の教職員の研修や教育に関する調査・研究を行う大阪府教育センターと連携し、新たな学びを創造する学校として、2011年に誕生した。同校の役割について校長の坂井啓祐先生はこう語る。 「知識や技能を活用して課題を探究する力の育成を重視し、アクティブラーニング型の授業への転換など、新しい手法を積極的に取り入れています。そうした先進的な教育について研究・実践を行い、その成果を発信し、他の府立高校をリードしていくのが本校の重要な役割です」 そんな同校の教育の柱に位置づけられているのが、教科横断型の学校設定教科「探究ナビ」。自己の可能性を最大限引き出して将来につなげる、キャリア教育を軸にした3年間のプログラムだ。文科省により教育特例校の指定を受け、「総学」に代えて各学年2単位で実施している。 3年間の「探究ナビ」の目標は、「自らの進路を切り拓くことができる人材の育成」だ。立ち上げ時から担当してきた探究科主任の山元 聡先生は、「職業生活という狭義のキャリアではなく、生活全般を指すライフ・キャリアを豊かにするために実施しています」と強調する。 そのような視点に立ち、1年生で人とつながるコミュニケーション能力を身に付け、2年生は社会と自分との関わりへの関心を高め、3年生は未来を見据えて新たな学びを創造し大阪府の教育を先導する学校演劇手法も取り入れ人間関係を形成主体的、創造的な課題解決に取り組むという、3年間のプログラムを設計(図1)。同校のシンボル「学びのクローバー」(図2)に配した4つのキーワード「発見、探究、感動、自信」を繰り返し体験しながら、スパイラル状に成長していくことを意識して実践している。 「探究ナビ」のプログラムは、山元先生の統括の下、毎年度、各学年担当者が学年目標や生徒の状況に合わせて常に新しさを取り入れながら設計している。具体的な内容について、今年度の計画を見ていこう。 1年生の「探究ナビⅠ」のテーマは、「生きる力の基礎となるコミュニケーション能力の育成」だ。1学期は「クラスの全員と話す」「肯定的に受け止める」などのワークショップを通じて、一人ひとりが安心して自己表現できるクラスの場づくりを行う。その上で2学期以降、「仕事調べ」や「演劇プログラム」など、グループ活動に取り組む。 「自分中心の表現から、相手がどう感じるか・どう受け止めるかに配慮した相手中心の表現へ――段階的にさまざまなコミュニケーションの形をテーマにすることで、自分を変えていく力も育みたいと考えています」(探究科担当・酒井将平先生) 1年生で特に生徒へのインパクトが大きいのが、年度終盤に取り組む「演劇プログラム」だ。8〜9人のグループが力を合わせて5〜10分の作品を制作し、自ら演大阪府教育センター附属高校は、キャリア教育を軸にした「探究ナビ」のプログラムを構築、実践しています。3年間の実践内容はもちろん、形骸化させないための工夫や、体験的な学習の評価の仕方など、キャリア教育の充実を目指す幅広い学校へのヒントが詰まった事例です。取材・文/藤崎雅子先進校に学ぶキャリア教育の実践主体的に人生を切り拓いていく力のスパイラル的な成長を促す「探究ナビ」大阪府教育センター附属高校(大阪・府立)教育センターとの連携 演劇プログラム 地域フィールドワーク 課題解決学習 ルーブリック評価522017 MAY Vol.417

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