キャリアガイダンスVol.417
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評価SABC発表の明確さ理解したことに基づき、新たな状況を推測している。例が適切で、聴衆が自分の事に置き換えて考えることができている。用語や概念は正しく理解され、論理的で、筋が通っている。調べたことの連絡に過ぎない。ICEのレベルExtensions応用ConnectionsつながりIdeas考え-※ICEモデル:問いに対する答えからIdeas(考え)、Connections(つながり)、Extensions(応用)のどの段階にいるかを評価する視点視する授業の一環として進路学習の一部を行うことで、他の生徒の情報や意見も取り入れながら、広い視野をもって進路を考えられるようになっているという。 進路状況を見ると、開校以来、大学進学者数が増加傾向にある。その数字以上に変化があったのが、進路実現に向けた生徒の行動だという。「宿題として強制しなくても自らオープンキャンパスに参加するようになった」(進路指導部・森本多美子先生)など生徒の積極的な行動が目立つようになり、明確な目標をもって進路選択する生徒が増えている。「初期は優秀な生徒が個別にがんばっている印象でしたが、今はみんなで支え合って最後まで諦めずにがんばろうというムードが強くなっています。それは入学する生徒の質が変わったからではなく、コミュニケーションを重視する『探究ナビ』の取り組みの影響が大きいのではないでしょうか」(進路指導部部長・石坂美枝先生) 「探究ナビ」は学年末に5段階で成績評価を行う。学年ごとに「観る力・聴く力」「協働する力」など身に付けさせたい力4〜5項目を評価観点として設定し、学習単元ごとに評価を実施。年間を総合して成績をつけている。 同校は13年から3年間、文科省より「高等学校における多様な学習成果の評価手法に関する調査研究」の指定を受け、幅広い資質・能力についての評価の手法・指標の調査研究に取り組んだ。「探究ナビ」においても、試行錯誤しながら新たな手法に挑戦。16年度からICEモデル(※)を用いたルーブリックによる質的な評価に取り組んでいる(図3)。 「生徒が書いた振り返りの文章を読んで、ICEのどの段階にあるかを見る方法です。読み取れるようになるまで時間はかかりましたが、計量的ではなく質的な見方ができるようになっていると思います」(山元先生) 「探究ナビ」を立ち上げて6年。いかに形骸化させず効果的に実践し続けるかは、授業者によるところが大きいだろう。現在、「探究ナビ」の授業を行うのは各クラスの担任・副担任だ。目標がぶれたり指導方法がずれたりしないよう、月1回程度は授業担当者が集まって打ち合わせを実施。さらに、「コミュニケーションをテーマにする1年生は、ちょっとした言動や対応で生徒の表現を妨げる可能性があるので慎重にやっていきたい」と、1年生を担当する酒井先生は全クラスの「探究ナビⅠ」に参加して、担任・副担任と役割分担しながら進める予定だ。 立ち上げ初期は3人の担当教員が全クラスの「探究ナビ」を行っていた。それをあえて拡大したのは、他の教員も講義型ではない「探究ナビ」の視点や授業ノウハウを身に付け、それぞれの教科の授業にも生かしてもらう意図がある。実際、「探究ナビ」の経験がきっかけになって、自教科の授業に演劇の手法やICTを取り入れた教員も少なくない。生徒もそうした授業スタイルに慣れているため、スムーズにいくという。さらに、「本校で実践したことを次の異動先の学校でも実践し広めてほしい」と、坂井校長は期待する。 探究科担当には若手の教員が就き、ベテランの山元先生が見守るなか、独自性を発揮して挑戦している。後続の担当者に受け継いでいきたいことについて、山元先生はこう語る。 「生徒一人ひとりを信じること。彼らは成長したいと願ってこの学校に来ています。その気持ちを基本として授業にあたれば、生徒は必ず伸びるはずです」● 全国的にも珍しい成り立ちの学校だが、その取り組み内容は他校が真似できない「特別」なものではない。週2時間のプログラムではあるが、「部分的に切り取って参考にしてもらうこともできるのではないか」と坂井校長。府立高校のみならず、新たな学びを目指す学校にはヒントが多い事例といえそうだ。ICEを使ったルーブリックで評価「探究ナビ」の経験を各自の授業改善に生かす自分の殻を破って積極的に行動できるように 他の学校にはない「探究ナビ」の授業と、部活が楽しそうだったことに惹かれて、この学校に入学しました。僕は中学生の頃から将来は看護系の仕事に就きたいと思っていたのですが、「探究ナビ」で仕事内容や「なるには」を詳しく調べたことで、簡単には就けないことがわかりました。しっかり勉強しなくちゃいけないな、と。それで火がついて、今は中学時代よりも勉強をがんばっています。(飯野君) 私は人前で何かを発表するのは苦手なタイプだったので、「探究ナビ」は楽しみでもあり、不安でもありました。一番印象に残っているのは1年生の「演劇」です。最初は難しかったのですが、だんだん「こうやりたい」とみんなに伝えられるようになり、声がすごく小さかった私も大きな声が出せるようになりました。こうした「探究ナビ」で自信がつき、生徒会に入る勇気も出せました。2年生の後期からは会長となり、マナーアップ運動を新たに立ち上げたり、学校をよくするために活動しています。(飯尾さん)生徒会会長・3年生 飯尾悠華さん(写真左)/生徒会執行部・2年生 飯野竜輝君(同右)探究科担当藤林則孝先生探究科担当酒井将平先生探究科担当小山真弘先生進路指導部部長石坂美枝先生進路指導部森本多美子先生探究科主任山元 聡先生校長坂井啓祐先生図3 「探究ナビ」のルーブリックの例(グループ発表に対するケース)552017 MAY Vol.417

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