キャリアガイダンスVol.417
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授業で生徒に育みたい要素知識能力意欲・態度育みたい要素物理の基礎知識・ 自然の物理的な事物・現象に対する基本概念や原理法則を「理解」して「使える」ようにする・ 例えば波について学ぶ単元なら、予習や授業の学習を通して、波に関する用語(振動・振幅・周期等)を「理解」し、それらの用語を班での話し合いやまとめに「使う」ことに挑むリーダーシップ・ 皆で共有した「全員達成」の目標に向かって、率先して動くこと(率先垂範)や、仲間に働きかけてサポートすること(同僚支援)に生徒が授業で挑戦し、そのスキルを高める考える力≒アウトプットする力・ 生徒一人ひとりが自分の考えをもってアウトプットし、人の意見も聞いて考えをさらに深めるこの場(授業)への当事者意識・ 自分の言動によって授業の雰囲気やクオリティが変わりうることを、生徒に体感させる熱心な初心者としての態度・ できないことやわからないことがあるときも、間違えてもいいから「やってみよう」「教えてほしい」と学ぼうとする姿勢を生徒に求める・ そうした言動を取った生徒をきちんと称えるそれが今・将来にどう生きる?自分の考えをもつ土台になる・ 基礎知識があることで、連想したり新たな疑問が生まれたりと、自分の考えを形づくれる皆で学ぶときの発見が多くなる・ 自分の考えをもっておくことで、ほかの人の話を見聞きしたときに、納得や共感、予想外なことへの驚きが生まれ、学びが深まるこれからの組織で活躍できる・ 変化が速い今は、一人の指示にまわりが従う組織より、誰もがリーダーシップを発揮して柔軟に対応する組織が志向されている。そうした組織で率先垂範・同僚支援して活躍できるチームで課題解決や創造ができる・ 自分の意見を出し、周囲の意見も聞き、チームで課題解決やモノやコトの創造にあたれるチームやコミュニティの力になれる・ 仮にスキルや経験はまだそんなになくても、できることがあることを自覚して動き、周囲の力になり、全体に貢献することができる選べる未来が広がる・ 進学や就職のほか何かに踏み出そうとするとき、初心者となるような分野も選択肢に入れて、未来を思い描ける 「『予習をちゃんとしたい』という頼もしいセリフもいっぱいありました」 「あと、ちゃんと聞いてくれていて嬉しかったのだけど、僕は世界の人口を70兆と言ったらしいです。すみません。『70億だ』と訂正が入りました。すばらしい」 こうした意思表明を、生徒たちは4月からできたわけではない。むしろ最初はシンプルな意思表示すら苦手としていた。「1と思うならグー、2と思うならチョキ、3と思うならパーを挙げて。せーの!」と促しても、手を挙げるのはクラスで4〜5人。めげずに「間違えていいんだ」と伝え続け、約1年かけて大半の生徒が挙手するようになったのだ。 そうして「何かを選ぶ」と「自分の意見も芽生えやすい」と高原先生は考える。三択からなんとなく選んだのでも、当たっていてほしいし、外れたら「違うの?」と小さなひっかかりが生まれるからだ。 高原先生の授業では、最後に生徒が振り返りシートを記入する。そして次回の授業の冒頭で、シートに記された生徒の意見や感想を高原先生がピックアップして紹介している。例えばこんなふうに。 「『授業前に教科書を読んで、ハテナを意識して聞いたらハテナが少し消えた』そうです。予習して余裕があれば、自分が話すときも聞くときも違ってきますよね」 「『自分の意見をもちつつ、相手の意見を聞くことができた』。これ、いいですよね。なんとなく聞くと賛成も反対もなく、聞き流しちゃうから。自分でまず考えたうえで、話を聞くということですね」 授業で生徒に意思表示を求め、振り返りシートを毎回書かせていくと、当初は単語しか書けなかった生徒の中にも、自分の考えを文章で表現できる子が増えた。 その内容については「本心ではなく僕に合わせているのかも」と高原先生は慎重な見方。それでも「言葉にすることで引っぱられる部分がある」と思うし、この振り返りを通して「生徒たちが段々、僕への報告ではなく、自分と対話するようになった」という手ごたえを感じている。 生徒たちは授業をどう感じているのだろう。直接聞いてみると男子からも女子からも「やりやすい」という声があがった。 その理由として、「間違ったことを言っても先生がフォローしてくれる」などと高原先生の心配りをあげた生徒がいた。 でもそれだけじゃない。無意識かもしれないが、このクラスや自分たちに対するちょっとした自信を、言葉の端々にのぞかせてくれた生徒も多かった。 「自分で考える時間が多いんです。ちょっと考えて、それから班で話し合いとか」 「わかっていなくても置いていかれないんです。班行動が毎回あるので」 「その分、自分たちでやってこないとやべえなあ、ってなるけれど」 「誰も予習していないと、班のみんながわからないことがあるから。班のボードをまっしろで出したらやばいので、最近は、自分的にですけれど予習しています」 「発言しやすいです。授業の雰囲気が明るいから」 「あと、クラスの雰囲気がいいので」生徒はこう変わる■ 振り返りシートの位置付け周囲に助けられ励まされ自分も人の力になろうとする 毎授業、最後の5分ほどで取り組む振り返りシート。「A:学習目標は達成できたか」「B:態度目標は達成できたか」「C:内容に関する質問・授業展開に関する意見・感想など」の3点を書く。AとBは①良くできた②まずます③いまいちのどれかを選び、そのうえで具体情報を書き添える。 その記述に、高原先生は響いた箇所に下線を引いてハンコを押してリアクション(1クラス20~25分の作業量)。また、次の授業でピックアップしたものを共有している。なお、「○○ができなかった」と反省だけ書いた生徒には「→」マークを返す。「で、次からどうするんだよ?」という意味だと伝えている。振り返りは「反省ではなく、次への意欲を生み出すもの」と位置付けているからだ。612017 MAY Vol.417

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