キャリアガイダンスVol.427
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見える学力(受験学力)「みらい型学力」考える力見えない学力(グローバル対応力・活用力)表現する力自ら学ぶ力基礎知識基礎教養みらい科大学・企業連携授業の実施アクティブイングリッシュ英検の結果で大きな成果思考型授業1人1台iPad導入グローバルプログラム身近に感じる“グローバル環境” 同校では多様化する社会に対応するための新しい学力を「みらい型学力」として定義し、その学力をつけるため4つの取り組みを実施している。「思考型授業」「アクティブイングリッシュ」「グローバルプログラム」、そして「みらい科」。みらい科はキャリア教育を担う部分で、中学1年から高校2年までの5年間、必ず毎週1回行われる(ツール1)。 思考し体験しながら学び、これからの社会で生きていく能力(コンピテンシー)をつけていく。みらい科ではコンピテンシーを「人間関係形成・社会形成能力」「課題対応能力」「自己理解・自己管理能力」「キャリアプランニング力」というキャリア教育における「基礎的・汎用的能力」に定義した。 そして、カリキュラムを作るうえでもう一つ重要視しているのは、チャレンジ精神や諦めない継続性。「最近の社会や家庭には『どうしても嫌ならやめてもいいよ』という寛容さがあります。それも大事ですが、一方でつらくてもがんばることの大切さを見直したい。5年間をかけて少しずつ生 周辺には皇居、官公庁、有名企業の本社…麴町学園女子中学校高校は東京の中心部に位置する私立の中高一貫校。自立した女性を育てるためのキャリア教育に力を入れており、そのための独自科目「みらい科」を10年ほど前に誕生させた。 近年、高大接続改革など国の教育改革の動きが活発になる中で、同校でも「我が校の生徒たちはどうだろう」と改めて考える動きが出てきた。中学受験激戦区の中で、生徒たちは必ずしも第1志望で入学してくるわけではない。入学時、生徒にも保護者にも自信のなさが見て取れる。例えば保護者の「この学校できちんと学べるか?」という不安。それを払拭するにはどうすればよいのだろう。そこで導かれた結論は「子どもに自信をもたせ、楽しそうに学校に通ってもらうことが大切。できなかったことができるようになったという自己肯定感。そして、すぐに諦めない粘り強さと継続する力を育てよう」 さらに新学力観にも照らし合わせ、中学1年から高校2年までの5年間のみらい科の中身を見直した。単発的ではなく、学びを継続し積み上げ、徐々に生徒に負荷をかけ、生徒自身に興味がもてるテーマを見つけ出させる。学校は生徒が主体的にテーマを見つけ出せるよう質の高い“きっかけ”を与える。そして、学びの集大成として仕上げるのは「みらい論文」。これを生徒たちが進路に結びつけていくという流れが、同校が目指す進路指導である。麴町学園女子中学校高校(東京・私立)取材・文/永井ミカ大学進学80人、短大進学3人、専各進学2人、就職1人、その他11人国際系の学部学科に進学する生徒が増加。留学ができる大学を目指す生徒も少なくない。学校としてはMARCH以上の大学に進学する生徒の数を伸ばすのが当面の目標。1905年創立/普通科/生徒数女子526人つけたい力やゴールを明文化徐々に負荷を上げる仕組みに進路指導部長 花形映里先生(左)主幹教諭・学年主任 河越多衣子先生(右)●「みらい科」の位置づけ麴町学園が整理した「みらい型学力」の概念。この学力をつけるために4つの施策に取り組んでいる。「みらい科」は4つのうちの一つで、キャリア教育の部分を担う。372019 MAY Vol.427

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