キャリアガイダンスVol.431
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2018年、本学は、藤田保健衛生大学から「藤田医科大学」に校名を改めました。開学時の学科構成や校名の響きから、コメディカル養成大学の印象が強かったと思いますが、大学開学50年を機に、シンプルかつ実態に即した形にしたかったのです。 ただし、海外ではすでに広く知られていたため、英語表記はFUJITA HEALTH UNIVERSITYのままにしました。信頼ある指標であるTimes Higher Education社の「THE世界大学ランキング2020」において、国内8位という高い評価を受けるなど、今の藤田はとても元気です。今や、競争すべきは世界、特にアジアだと考えています。 教育と研究、臨床がうまく循環し、療人をめざす学生にとって住民との交流は、講義だけでは得られない実地での学びになっています。空室解消や、活性化につながっており、地域の課題解決モデルとして、全国の自治体から注目を集めています。 ただ、共生やチームワークという言葉の美しさとは対照的に、他人との協働は自分が思うようにはいかないものです。どうしたら困難を乗り越え、喜びを感じられるまでに至るか。失敗を恐れず、成功体験を次に活かしながら学んでほしいと思います。特に、医療は医師一人の力で行うものではありません。そのためにチーム医療や、学部・学科を越えたアセンブリ教育に力を入れる必要があるわけです。この点で、教育と研究、臨床が一体となった藤田は最高の研鑽の場だといえるでしょう。 私たちがなぜ教育に携わっているかといえば、次世代を担う医療人を育てるためです。先にこの世を去る私たちを乗り越えていく人材が必要だからです。 どんな取り組みも、世間で評判が形成されるまでに5年くらいかかります。一般の人は現在、5年前の本学をイメージしていることになります。しかし、私たちは刻々と進化しています。今、そしてこれからの藤田医科大学に注目してください。【学長プロフィール】さいとう・えいいち●1955年生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。医学博士(慶應義塾大学)。慶應義塾大学医学部リハビリテーション科助手、東京都リハビリテーション病院リハビリテーション科医長、藤田保健衛生大学(現 藤田医科大学)医学部助教授などを経て、98年藤田保健衛生大学医学部教授。藤田保健衛生大学病院副院長、藤田保健衛生大学統括副学長などを経て、2019年4月より現職。【大学プロフィール】1964年学校法人藤田学園設立。68年名古屋保健衛生大学開学。2018年、大学開学50年を機に、藤田保健衛生大学から藤田医科大学に名称変更。19年度から医学部(医学科)、医療科学部(医療検査学科、臨床検査学科、放射線学科、臨床工学科、医療経営情報学科)、保健衛生学部(看護学科、リハビリテーション学科)の3学部に再編。刻々と進化を続けている今、そしてこれからの藤田医科大学に注目してほしい経営も安定しています。1435床の藤田医科大学病院など三つの教育病院に加え、今年4月には400床規模の藤田医科大学岡崎医療センターが開業します。臨床の場には名医と呼ばれる人が何人も在籍し、リハビリテーションやロボット支援手術などの分野で世界をリードしているほか、近年は再生医療にも力を入れています。 医療と介護・福祉を連携させた地域包括ケアに関する教育や実践にも率先して取り組んできました。例えば近隣にある豊明団地では、50棟におよぶエレベータ未設置の建物の4・5階に学生が住む共生プロジェクトを開始。家賃を割り引く代わりに、団地内でのボランティア活動を行います。未来の医̶変革に挑む̶まとめ/堀水潤一 撮影/臼井 美喜夫藤田医科大学学長才藤栄一532020 FEB. Vol.431

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