キャリアガイダンスVol.431
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間にか誰とでも話せるようになった。 「参加したら確実に成長して、新しい自分に出会える。好奇心もあって参加しているうちにほぼ毎月何かをしていました。勉強ができない自分は何もできない人間だと思っていたけど、人一倍積極的に行動できる。自分の良いところを伸ばそうと思えるようになったことも、まさかの国公立大学に進学できたのも、学校が提供してくれた機会のおかげです」 進学先は、活動経験を評価してもらえ、好奇心やチャレンジ精神に富む西村さんにぴったり、と担任に勧められた島根県立大学総合政策学部。地元企業の商品開発など地域での実践的な学びの機会がある経営学ゼミに所属した。 大学でも「経験は自分を成長させる、挑戦したら何かが見える」との信念が数々のアクションをもたらした。B級グルメイベントの開催、国際交流サークルの立ち上げ、4年次には休学して世界を旅し、これまで訪れた国は約30か国にのぼる。就職活動では多くの内定を手にしたが、1年間フリーターとなって日本と海外をつなぐ可能性のある仕事を求めた。今春からの就職先である大手メーカーではどこに赴任するかはわからない。でも「どこに行っても、その場所の良さを見つけて、やっていける自信はあります」 「企業の縮図を経験させてもらいました。プレゼンの仕方や商品の見せ方など、事業を進めるためには目的と理由を明確にして提案すると説得しやすいなど、このときに学んだ仕事のプロセスが現在も生きています」 「28project」以外でも、部活動の運営は生徒に任されているなど、同校には生徒の主体性を育んだり、視野を広げる風土が多々ある。しかし、野原さんが高校で身に付けた力を自覚したのは大学進学後だったと言う。 「例えばゼミで何か役割分担を決めるときに誰も手を挙げない。品女生はそういう気まずさに耐えられないので(笑)、立候補ですぐ決まっていました。同窓生も同じ経験をしていて、品女の当たり前が世間の当たり前ではなかったんですね」 大学では国民性をテーマに卒業論文に取り組んだ。 「その研究を通して、先入観をもたずに一人ひとりの人と向き合っていきたいと考えるようになり、現在、海外からのお客さまと接する際に役立っています。すべての学びはリンクしているんだな、と感じます」 「28project」で設定した仮ゴールの28歳まであと4年。 「そのときの自分と仲間がどうなっているか今から楽しみです!」(上)国際交流ボランティアとして、ペルー出身の生徒と一緒に、月に一度矢掛駅前で開催される「得得市」でインカコーラを販売した。(下左)大学生時代に約30か国を旅行するなかで、中南米、マチュピチュを旅した。 (下右)同じくヨルダンのペトラ遺跡にて。1996年生まれ。小学校2年生までアメリカで育つ。飛行機に乗ることが多い環境から、幼少期から航空業界に憧れをもつ。中学進学時に品川女子学院に入学。高校2年のときに、現代文の課外授業で課題として社会学者たちの著書に触れてその面白さに目覚め、上智大学総合人間科学部社会学科に入学。2018年、大学卒業とともに現職に就く。(左上)「28project」の一環である「起業体験プログラム」の文化祭で。野原さんのクラスはハート型のサボテンを企画し販売した。(左下)品川女子学院時代は中高6年間ダンス部で活躍。(右)昨年、母校からの依頼で、在校生向けに自身の進路選択についての講演を行った。地域を巻き込み社会とつながる学びへ学びを起点に進路を拓いた卒業生4人のストーリー92020 FEB. Vol.431

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