キャリアガイダンスVol.433
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まとめ/長島佳子 撮影/丸山 光工学院大学附属中学・高校 校長1887年創立。2013年より「21世紀型教育」を推進。コースは多言語・共生を意味する「ハイブリッド」を冠し、ハイブリッド文理先進コース、ハイブリッド文理コース、ハイブリッドサイエンスコース(医歯薬理工)、ハイブリッドインターナショナルコースの4コース制。工学院大学附属中学・高校(東京・私立)21世紀型教育を加速させグローバルオンライン教育を待ったなしで推進するひらかた・くにゆき1951年生まれ。東京農業大学農学部農学科卒業。東京都の区立中学の教員を経て、1982年聖学院中学・高校に勤務し、校務部長・理事長参与を歴任。80年代から海外研修などを体験し、グローバル教育や体験学習の重要性を体感。同校の改革に取り組んできた。2011年に学外の有志と「21世紀型教育を創る会(現・21世紀型教育機構)」を設立。2013年より現職。着任以降、「21世紀型教育」を推進し、精力的に学校改革に取り組んでいる。自校の改革のみならず、私学全体の変革にも注力し、一般財団法人 東京私立中学高等学校協会 副会長、日本私立中学高等学校連合会 常任理事、一般財団法人 日本私学教育研究所 副理事長、東京都私立学校審議会委員など校外の活動も多数。日頃から「人生をかけてとことん突き詰められるものを複数もて」と生徒たちに語っている。 私は本校の改革を使命とし、2013年に着任しました。前任校にいた2000年頃、欧米やアジアのインターナショナルスクールの視察に訪れました。当時から講義形式ではなく教員と生徒、生徒同士の対話型授業が中心で、アメリカの生徒はPCを所有していました。こうした世界標準のグローバル教育の必要性を肌で感じ学校改革を行ってきました。 本校が目指す生徒の育成像は、クリエイティブ・クラスの若者です。批判的思考をもち、自己変容の知性を磨き、創造的思考力を身に付け、世界の人と渡り歩ける人材のことです。そのために、双方向型授業、PBL、探究、実践的な国際体験を軸とした「21世紀型教育」を進めてきました。世界標準のPBLは、Communication、Collaboration、Critical Thinking、Contribution、Creative Thinkingの5Cが含まれたものでなければなりません。そして現在、新たなステージである「グローバル教育3・0」と表した教育理念の下で改革を深化させています。 具体的には、英語にさらに重点を置き、数年前からCEFRのC1英語を目指すために、英語のカリキュラム、指導法、テキスト等を検討し、Cambridge大学出版発行のテキストを中高で採用し、日本初の「Cambridge English スクール」の認定を受けています。また、英語を使って他国の生徒とともにさまざまな課題解決にあたるグローバルプログラムを多数実践しています。そのひとつが、高校2学年が全員参加する「Global Project」です。SDGsの17目標の中から訪問する国や地域の課題を学び、その解決に貢献する取組を実践します。他にも世界の学校とつながるさまざまな教育プログラムや国際的な学会に参加し、生徒たちは「世界を見に行くのではなく、世界を変えに」行っています。 「21世紀型教育」にはICTは欠かせません。本校では2015年度入学の中学生から全員タブレットを使用しているため、春に起きた休校期間も、スムーズにオンライン授業を始めることができました。ホームルームはもちろん、PBL型授業もオンラインで継続し、加盟しているRound Square(国際規模の私立学校連盟)の他国の生徒たちとのオンラインミーティングも開催しました。 コロナ禍によって予測不可能な未来が今やってきたことで、オンラインの必要性と可能性を全国の学校が痛感したと思います。これからはグローバルオンライン教育を一気に押し進めなければなりません。そのためにも、国には教育機関のICT整備を無償化するなどの思い切った施策を望むところです。 これからも在野の精神を失うことなく、既存のことに追従するアカデミックに陥らず、常に「独自性」と「先進性」に満ち溢れていることが私学の「命」であることを肝に銘じて、学校づくりに邁進したいと思います。グローバル教育の新たなステージとして高い語学力の習得とPBLを実践「独自性」と「先進性」が私学の命今後も学校改革に終わりはない352020 JUL. Vol.433

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