キャリアガイダンスVol.437
52/66

522021 MAY Vol.4371学年1学期1学期2学期2学期3学期3学期2学年【PBL基礎】〇新聞から地域を学ぶ「わくわく新聞講座」など【PBL「地域に提案!」】 〇地域の課題を知る 「地域発見講座」 〇フィールドワーク 〇中間報告会 〇課題の再構築、課題設定報告会 〇オンラインインタビュー 〇解決策の検討(適宜フィールドワーク) 〇中間報告会 〇クラス内報告会 〇最終報告会【PBL「探究論文」(省察論文)】〇探究論文講座 〇2年間の探究の省察を行い、論文作成解決策検討課題設定● 大雪時の市民の取るべき行動(防災・災害領域)● 行事を通して地域が発展するために若者たちの力をどう取り入れるか (地域づくり領域)● 今ある観光地をどのようにSNSで広めるのか(観光領域)● 若者が農業の中心に立ち、スマート農業を活性化(農業・畜産領域)● 男性は育児休暇を取れないのか、取らないのか(女性活躍・子育て領域)でしょう。それを乗り越えるためのカギは、スーパーティーチャーの存在ではなく、教員それぞれがもつアイデア。それを共有する語り合いの場はとても大切だと感じました」(永田先生) 一方、PBLの実施内容についても、19年度の途中から見直しを図り、20年度は次のような内容で実施した。 まず、1学年初めの「PBL基礎」で、思 探究企画部メンバーの髙嶋郁子先生は、そのなかで教員のPBLへの向き合い方が変わってきたと実感している。 「以前は遠慮がちに現場の先生方に『お願い』するという状況でしたが、積極的に携わってくださる先生が年々増えています。生徒と一緒にPBLを楽しむようになってきたのではないでしょうか」 取り組む教員たちによって、プログラムに魂が込められていく。 「コロナ禍のように、私たち教員が経験したことのない課題は今後ますます増える考やプレゼンの技法を学ぶとともに、新聞記者による講演会などによって社会課題に目を向ける。その上で、FWなどで生の情報に触れながら、「市役所に提案!」を発展させた「地域に提案!」のPBLにチームで取り組む。そして2学年の終わりに、各自でそれまでの活動を振り返り省察論文をまとめる(図2)。 改善ポイントの一つは〝個を大切にする〞ことだ。生徒一人ひとりがテーマに一層興味がもてるよう、従来のクラス別テーマ設定をやめて、各自が「探究したい領域」を選んで自由なテーマに取り組む方法に変更(図3)。チームの人数は5〜8人から3〜4人に減らし、全員参加型を目指す。また、FWを経てテーマ設定するまでの期間を長く取り、課題に対する理解を深めることに注力する。また、チームの取組においても個人の活動を重視。「地域に提案!」はクラスを解体してチームを編成して取り組むが、その活動報告をクラスメイトに一人ずつ報告する場を設定した。 「いざ一人になるとわからないこともあり、『人に任せてしまっていた』『主体的に考えられていなかった』ことなどに気づいたという声があちこちから聞かれました。活動を改めて自分の中に落とし込む良い機会になっています」(髙橋美由紀先生) そうして、PBLで何を学んだか、どう成長したかを個人でまとめる省察論文につなげる。 「以前2学年で行っていた『学問探究論文』と違い、自分の経験が題材なので、どこかからのコピペでは書けません。オリジナルの言葉でまとめる経験を通して、しっかり振り返りを行ってほしいと思います」(永田先生) もう一つの改善ポイントは〝地域との関係性の捉え直し〞だ。 「PBLの目的は、地域の現状について知識を増やすことでも、課題を解決することでもなく、学習過程で生徒の資質・能力が育成されること。生徒が魅力的な大人「個」を重視したチーム活動へ魅力的な大人と出会う機会と地域連携を捉え直す図2 羽水高校PBLの流れ(2020年度)図3 探究テーマの例(2020年度1学年)現在、PBLのフィールドワーク先は、県庁、市役所、地域の企業、公共施設、個人の方など多岐にわたる。※コロナの影響により一部計画を変更して実施

元のページ  ../index.html#52

このブックを見る