キャリアガイダンスVol.438
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が、その後の挨拶や連絡、礼状(ツール2)の送付などはすべて生徒自身が行う。さらに、インターンシップ後には振り返り学習を行い、3月にはインターンシップ体験発表会を実施。グループごとにまとめ資料を作成し、何をしたか、どう感じたかを発表する。「職業体験としてドライに済ませるのではなく、インターンシップ先の従業員の方々から、どんなことを大切にしているか、どんな大変なことがあるか、やりがいは何か、といった部分まで吸収してほしいと期待しています。生徒の発表や資料を見ていると、それぞれいろいろなことを感じたり気づいたりしているのが伝わってくるので、失敗も含めていい経験になっていると思います」2年次には、分野別の進路ガイダンスや面談の実施、看護や介護などの体験会やオープンキャンパスへの参加呼びかけなどを通して、生徒が自分自身の進路について深めていけるようサポートする。学年全体を対象にしたガイダンスも行っているが、多様な生徒の進路希望に対応するため、個々に向けた指導を最重要視しているという。「全体に向けた進路指導の話だと、自分ごととして受け止めることができずに情報が抜け落ちてしまう生徒が多いので、就職希望者には基本的にマンツーマン指導、進学希望者に対してもできるだけ少人数に絞って話をしています。1回言えばわかる、任せておいたら自主的に動く…という生徒たちではないので、私たち教員がもう無理だと諦めてしまったら救いようがありません。気づきのタイミングや変化のきっかけは生徒それぞれ。何度も何度も根気強く声をかける、イレギュラーなケースにもその都度対応するといった、生徒の進路実現のためには努力を惜しまない姿勢が何よりも大事だと思っています」 こうした姿勢は、前田先生や進路指導部の教員のみならず、学校全体に浸透している。同校が掲げる「全方位型の進路指導」には、「生徒の全方位に広がる多様な進路に対応した進路指導」という意味に加えて、もう一つの意味が込められているのだ。生徒の情報を「全方位」から集め、進路指導につなげるツール1ツール2インターンシップの事前学習資料(事業所理解・自己理解) インターンシップの事後学習資料(礼状の書き方)インターンシップの事前指導では、敬語の使い方や事業所への依頼方法、電話や事前訪問の練習などを細部まで丁寧に指導。事業所理解と並行して、自己理解も深めていく。前田先生の手元には、生徒配布用の資料データが蓄積されている。事後指導は礼状の書き方から始まり、発表用の資料・レジュメ作成や発表のノウハウなども指導する。礼状にはインターンシップ中の気づきや前後の変化、進路にどう役立ちそうかなども書くように指導。礼状を書くことが、生徒のリフレクションにもつながっている。※ダウンロードサイト:リクルート進学総研>> 発行メディアのご紹介>> キャリアガイダンス(Vol.438)442021 JUL. Vol.438

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